王将戦「藤井八冠」無傷の3連勝でタイトル防衛に王手 国民宿舎「一泊80万円」初手見学プランのお客さん…感想は「月に行った以上の価値」

山陰であのレジェンドが再び…。
将棋の王将戦が去年と同じ島根県大田市の国民宿舎さんべ荘で開かれました。
勝負おやつに選ばれたスイーツにはさっそく注文が殺到。
さらに、一泊なんと80万円、初手が見学できる特別プランを勝ち取った宿泊客にも取材班は直撃しました。

去年の王将戦以来、約1年ぶりに再び大田市へ戻ってきた藤井聡太八冠。

王将戦七番勝負第3局、振り飛車の名人・菅井竜也八段の挑戦を受けます。

藤井八冠の2勝で迎える第3局。
重要な一戦ですが、前夜祭では持ち前のやわらかい笑顔で挨拶しました。

藤井聡太八冠
「明日から対局となりますが、第1局、第2局の経験をいかして、集中力を高めて対局に臨んで面白い勝負ができればという風に思っております」

そして始まった注目の1局。
初日から大盤解説には大勢の観客が集まりました。

観客は
「1回は来てみたかったんでよかったです。ほんとは明日来たかったけど」
「両者隙がなくてこれからの中盤、終盤に期待したいですね」

そんな中、最前列で見守る女性2人。
実は一般のお客さんとはちょっと違います。

「さんべ荘さんが計画してくれた特別プランとかいうやつで。2人で80万、1人40万円ずつ。」

対局のため一般の人は宿泊できなくなっていましたが、初手が見学できるなどの特別な宿泊プランを、なんと80万円で限定販売。
数ある応募の中から見事抽選を勝ち抜いたペアです。

80万円の特別プランの客
「高いなと思いながら来たけどおわってみると、旅行に行ったかと思うとほんとにすごい、月に行った以上の価値があるような。」
「本当に素晴らしかったです。」

観客も大盛り上がりの対局の一方で世間の注目を集めたのが勝負メシ&おやつ。

まず注文されたのは午前のおやつ。
藤井八冠が頼んだのは市内の和菓子屋が作る「生クリーム大福」です。

この注文を受け取材班はさっそくそのお店へ。

「御菓子司さつだや」のスタッフ
「情報を早く手に入れておられる方たちがちょっと食べてみるからと3個ちょうだい4個ちょうだいとご来店です。電話がやはり立て続けにきますし反響の大きさにはちょっと驚いております」

すでに注文の嵐。
問い合わせや注文が相次いでいました。
そんな注目の「生クリーム大福」を取材班も1つ食べさせてもらことに…。

清水栞太記者
「めちゃくちゃ柔らかいんですよねこの口当たり。それでいてしっかりとした生クリームの味わい、これはたまりませんね」

高級な生クリームをたっぷりぜいたくに使い、自家製の自慢のあんこで包んだ1品で、店の前には専用の自販機まで置いしまうほどの人気商品。
広告を一切打っていないにも関わらず、口コミだけで有名になったんだそうです。

続くお昼の勝負メシには、藤井八冠が「大アナゴ天そば」、菅井八段が「大アナゴ重」と、両者ともに大田市名物のアナゴを注文しました。

一進一退の勝負が続く中、午後になると再びおやつの時間へ。
藤井八冠が注文したのは「朝摘み苺いちご姫」。
見た目にも可愛らしいイチゴクリームのモンブランで市内の洋菓子店が作りました。

取材班は、対局前にこのお店を訪れていました。

ガトー・サンマリノ 重富洋介店長
「過去の勝負おやつをネットで検索したら結構藤井さんがイチゴのケーキとかキャラクターをあしらったケーキを選ばれたりしてたので、可愛らしく作ってみました」

実はこのお店、去年の王将戦でもおやつメニューにエントリーしましたが、藤井王将には食べてもらえず…。

リベンジに燃える今年は、研究をかさねて新商品を開発。
それが「いちご姫」だったのです。

藤井八冠の注文を受けて、取材班は再びお店へ。

ガトー・サンマリノ 重富洋介店長
取材班「代表、やりましたね」
「めちゃくちゃ嬉しいです。支配人から『おめでとうございます』って連絡がきたんですけど何かわからなくて、『何か食べられた?』って聞いたら『いちご姫が』って、それは嬉しいと思って」

ショーケースには、はやくもお祝いのポップが掲げられていました。

注文は棋士のその時の気分次第ではありますが、研究を重ねた店長、見事リベンジ成功です。

ガトー・サンマリノ 重富洋介店長
「地元の食材を使ったスイーツを食べてもらいたいという思いがあったので今回イチゴのケーキにしました。午前中見た限りやっぱり和菓子かなという思いはあったんですけど昼のおやつで食べていただけて嬉しいです」

初日から盛り上がりを見せた王将戦フィーバー。
1日目の対局は、午後6時に菅井八段が封じ手を行い終了しました。

2日目は午前9時に菅井八段の封じ手を開封して再開。
大盤解説会では福崎文吾九段と畠山鎮八段が、軽妙なやり取りで満席の会場を沸かせます。

福崎文吾九段
「隙があったらもう1回こう歩を打ちます。ははは。これやったら二歩になるから素早くもう1個こう打っとくねん。三歩は反則じゃないからね。」

去年の羽生善治戦にも登壇した福崎九段は八冠の1つ王座を1期務めた実力者であるとともに爆笑解説で人気。
対する畠山八段も引けを取りません。

畠)「似楽しみにしてますというコメントが。」
福)「物真似は認めてくれてるの?あっ、どうですか加藤(一二三)先生?」
畠)「あっあの今、藤井さんがですね、こう来たんですけど、あの4六角。あっ、そーうだ4八銀。ははは。」

「ひふみん」こと加藤一二三九段の
物真似を交えた将棋界のレジェンドたちの裏話に、ファンたちも大喜び。

一方、この日、2人の勝負飯は、藤井八冠が年間約50頭しか出荷されないしまね和牛の「かつべ牛ステーキ重」。
菅井八段は「わさび飯」のセット。
おやつは午前がそれぞれ「チーズタルト&カステラ」と「ブルーベリー甘酒スムージー」。
午後は2人ともアイスグリーンティーでした。

観客の女性会社員
「聡太君が飲まれたグリーンティーを購入しました。オーラが素晴らしかったです。」
観客の小学5年生男子
「詰みの速度とかが(すごい)。」

畠山鎮八段
「びっくりしましたね、馬の背中に後ろに角を打つ。」

菅井八段の奇手にも藤井八冠は相手の守り駒を1枚ずつはがして応じ、
万策尽きた菅井八段が94手で投了。
藤井八冠が無傷の3連勝でタイトル防衛に王手をかけるとともに故大山康晴十五世名人によるタイトル戦19連覇を超える記録更新に残り1勝と迫りました。

菅井八段
「自分のふがいなさがありますね。また頑張ります。はい。」

藤井八冠
「いくつかちょっと読みが甘い所もこう出てしまって。しっかり振り返ってまた次の会場でも頑張りたいと思っています。」

王将戦第4局は2月7日と8日に東京都立川市で戦われます。

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