「基準が曖昧で最後までやる意味があるのか、でも…」SDGsと現実社会とのギャップを表現 高校生が演じる“社会派コメディー”

名門として知られる静岡県立富士高校の演劇部がSDGsをテーマにした作品で静岡県大会を制し、さらなる大きなステージに挑みました。高校生のSDGsに対する率直な思いが詰まった大人がドキッとする社会派コメディです。

【写真を見る】「基準が曖昧で最後までやる意味があるのか、でも…」SDGsと現実社会とのギャップを表現 高校生が演じる“社会派コメディー”

「よい子のみんなこんにちは!私たちはアースレンジャー。貧困をなくそうレッド。海の豊かさを守ろうブルー。エネルギーをみんなに、そしてクリーンに、イエロー。3人合わせてSDGs!」

地球を守るアースレンジャー「SDGs」。県立富士高校の演劇部によるSDGsをテーマにしたオリジナル脚本です。

「ありがとうペットボトル。ありがとうポイ捨て。どうもありがとう」

「SDGs」を名乗るヒーロー3人が悪役の「海洋汚染」と対決する社会派コメディです。

「くらえ!G7サミット!」
「なに?私たちの攻撃が通じないだと!」
「だめよレッド!G7サミットで、なにか1つでも決まったことがある?」

国家の力で倒せないと分かった「SDGs」が繰り出したのはー

「いくわよ!リユース!リデュース!リサイクル!3人合わせて3R!」

ゴミを減らすための地道な活動「3R」の大切さを訴えました。

<富士高校演劇部 渡邊怜夏副部長(2年)>
「いま、世の中に浸透しているSDGsを題材にして、SDGsヒーロー、アースレンジャーみたいに感じでやることでお客様にも分かりやすく、面白くなっていただけるかなと」

今回、最も意識したのは高校生ならではの視点で、「SDGsと現実社会のギャップ」を表現することです。

<富士高校演劇部 臼間英文顧問>
「掲げる目標は立派なんだけど『本当にできるの?』みたいなのは実際にある。それは奇しくも芝居の中に出てしまっている。高校生の本音が入っている」

「こうやってプラスチック含有量が増えるたびに私が強くなるわ」
「私たちが来たからにはそうはさせないわよ!」
「分かってないわね、今の時代、毎年どのくらいのプラスチックごみが海に流れ出ていると思うの?800万トン」

<富士高校演劇部 渡邊怜夏副部長(2年)>
「(SDGsは)基準が曖昧で、手持無沙汰な感じがする。最後までやる意味があるのか、でも、やったことは無駄にならないことを伝えたくて」

高校生らしい切り口で現代のSDGsを風刺した作品は、静岡県大会で最優秀賞を受賞し、関東大会では優良賞に輝きました。

大会後の反省会では演じたからこそ気付いたSDGsの課題もみえてきました。

<富士高校演劇部 森田優さん(1年)>
「SDGsが名前だけになっているのでは?とすごく感じて、今回分かりやすく劇にすることで、もう1回お客さんにSDGsについて伝えるきっかけになったかなと思った」

<富士高校演劇部 齋下日和さん(1年)>
「解決できないのが当たり前になっているけど、それも当たり前に感じないで、自分たちで変えられると思ったらいいのかな」

劇のラストシーンで描いたのは生徒たちの決意です。

「私がやりたいことは、やっぱり持続可能な社会を作りたい。間に合わないかもしれないけど、やれることはやりきりたい!だって、私たちはアースレンジャー!4人合わせてSDGs!」

© 静岡放送株式会社