短時間でハクスラ・トレハンの楽しさをより深く楽しめるRPG!「Buriedbornes2」レビュー

「Buriedbornes2」は、個人ゲーム開発者ohNussy氏によるスマートフォン・PC(Steam)向けダンジョンRPG。前作である「Buriedbornes」のリリースが2016年なので、8年ぶりの続編ということになる。ただ同シリーズを知る人間なら、決して「久しぶり」という感覚ではないだろう。

というのも「Buriedbornes」は現在に至るまで継続的にアップデートされているからだ。また、ダンジョンRPGの醍醐味であるハック&スラッシュ(ハクスラ)やトレジャーハンティング(トレハン)といった要素をシンプルに表現したゲーム性から根強いファンを獲得しており、8年を経た現時点においても決して過去の作品ではない。

このため、今作「Buriedbornes2」リリース後においても「Buriedbornes」のアップデート継続が予定されている。つまり「Buriedbornes2」は続編やアップグレード版というより、「Buriedbornes」と並行して楽しむべき作品といえるのだ。本作のこの独特なスタイルを伝えるためにも、まずは前作「Buriedbornes」に触れてから、本作の内容を紹介したい。

■ハクスラ&トレハンの魅力を凝縮したダンジョンRPG!「Buriedbornes」

前作「Buriedbornes」は、ハクスラやトレハンといったダンジョンRPGの醍醐味をギュギュっと凝縮した作品といえる。プレイヤーが行うことは、冒険者の作成と移動先の選択、そして戦闘時のスキル選択。

ダンジョンは部屋によってされており、プレイヤーは移動先となる部屋を選択することで、ダンジョンを進行していく。部屋によって戦闘やアイテムの入手などといったイベントが設定されており、具体的な詳細まではわからないものの、その部屋にどんなタイプのイベントが待ち受けているかは表示されている。この表示をもとにプレイヤーは移動先を選択するわけだ。

部屋に敵がいた場合、戦闘が発生。ターン毎に使用スキルを選んで敵を倒せば勝利、次の部屋へ進むことができる。

非常にシンプルなシステム。だがこのシンプルなシステムに、ハクスラやトレハンの楽しさが濃縮された状態で詰まっている。たとえば移動であれば、実際にダンジョンを一歩ずつ歩くのではなく、部屋の選択というかたちになることで、イベントを連続で楽しむことが可能。レアアイテムを持っている敵の部屋に行くため、既にイベントが終了しているマップをいちいち進むことはない。次から次に新しいイベントを発生させ、戦闘やレアアイテム収集が行えるというわけだ。

■基本はそのままに遊びのスタイルが変化!「Buriedbornes2」

「Buriedbornes2」も、基本的なシステムは一作目と変わらない。冒険者を作成し、移動先を選択。戦闘が発生したらスキルを選んで敵と戦えばOK。では何が違っているのかというと、おおまかに言って「遊びのスタイル」。基本システムは踏襲しているものの、追加要素が加わったことで、「遊びのスタイル」が変化しているのだ。

「遊びのスタイル」の変化に関わる追加要素の代表的なものが、「使用回数」「ルーン」「バーストモード」といった、スキルに絡む新要素。一作目と違い本作にはスキルに使用回数が設定されており、ゼロになるとそのスキルを使用できなくなってしまう。それどころか、すべてのスキルの使用回数を失うと、死亡扱いとなる。

使用回数というリスクが設けられた一方、「ルーン」によってスキルに追加効果を設定したり、戦闘中獲得可能な「ブレイブ」を貯めることで強力な「バーストスキル」を発動できる…などといったリターンも追加。リスクとリターンがそれぞれ高められたことで、「戦闘後のダンジョン探索も踏まえ、今どのスキルを使うべきか?」が、より深く考えることが求められるようになった。

また、ダンジョンには「目標フロア」という仕様が導入された。最終フロアにいるダンジョンボスを撃破することでダンジョンクリアとなる。目標フロアが何フロアかは各ダンジョン毎に異なるが、最初のダンジョンである「街道」は3フロア、その後に解放される「尖塔」は6フロアと、それほど大量のフロアが設定されているわけではない。

なお、フロアの数は少ない一方で、イベントの文章量は大きく増えた。これによって一作目よりイベントの解像度が上がり、世界観をより深く味わえるようになっている。

こうした変更点によって本作は、一作目より「短時間でより深い体験」が楽しめる。これは、一作目の体験がパワーアップしたという意味ではない。シンプルなシステムでダンジョン探索を楽しみ続ける一作目とは、体験の方向性そのものが異なっている。世界観や基本システムは確かに踏襲しているものの、「遊びのスタイル」的には別作品といってもいいだろう。 「Buriedbornes2」と並行で 「Buriedbornes」のアップデートを継続することにも納得できる。

■どちらも違ってどちらもイイ!好みの作品をプレイするのがオススメ

ここまで紹介してきた通り、「Buriedbornes2」は「Buriedbornes」の正統進化版というよりも、別スタイルの遊びを提案した作品といえる。このため、人によっては「Buriedbornes2」よりも「Buriedbornes」の方が好きということも大いにあるだろう。

筆者は個人的に、少ないプレイ時間で深くじっくり楽しめる「Buriedbornes2」が好みだ。世界観により深く浸れるのもいい。感情移入という点で、「Buriedbornes2」で新たに導入された育成システムが好感触。

そもそも「Buriedbornes」における冒険者は生身の人間ではなく魂を憑依させた死体という設定。「Buriedbornes2」ではこの設定を活かし、ダンジョン攻略ごとに死体の部位を次の死体へ引き継ぐことができる。ゲーム的にはプレイを重ねるほどバフ効果が積み重なっていく…というものに過ぎないが、死体の部位交換という背徳的な設定にすることで、本作のダークな魅力がより際立ったように思う。

一方で、一作目が好きという人もいるだろう。筆者も「Buriedbornes2」が好みと書いたが、一作目をプレイすると、シンプルにまとめられ、凝縮して味わえるハクスラ・トレハン要素に強い魅力を感じる。正直どちらの作品も捨てがたい。まだどちらもプレイしていないという人は、これを機に両方一気にプレイし、好みな方をプレイするのがオススメだ。その結果、どちらも好きなら是非、両作品を並行して楽しんでほしい。

App Store
https://apps.apple.com/jp/app/buriedbornes2/id6456705641
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.Nussygame.bbrpg2
Steam
https://store.steampowered.com/app/1581950/Buriedbornes2__Dungeon_RPG/


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