タクシー運転手不足、福井県でライドシェア導入検討 北陸新幹線開業控え県協会 福井県も実証運行を模索へ

タクシー運転手確保に向けて関係機関に協力を求める福井県タクシー協会の矢崎会長(左奥から3人目)=1月29日、福井県福井市の福井商工会議所ビル

 3月16日の北陸新幹線福井県内開業を控え、タクシー運転手確保に向けた県の対策検討会議が29日、福井市の福井商工会議所ビルで開かれた。一般ドライバーが自家用車を使い有償で送迎する「日本版」ライドシェアに関し、県タクシー協会は運転手が不足する時間帯や曜日などを中心に導入に向けた検討を進めていく考えを示した。県は今後、実証運行なども検討する。

 会議は県が呼びかけ、国土交通省中部運輸局、福井運輸支局、県商工会議所連合会、新幹線駅がある県内4市の関係者20人が出席した。

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 県は人材確保支援として、2月に新聞広告を活用して2種免許保有者を募集した上で採用事業者に奨励金を支給すると報告。また、新幹線4駅のうち、タクシー乗降場のライブカメラが未設置の芦原温泉、越前たけふ、福井駅東口に開業日までにカメラを取り付け、乗客の利用状況に応じて各社の配車係が車両を手配できる体制を整えるとした。

 政府は昨年12月、タクシーが不足する地域や時期、時間帯に限り、タクシー会社の管理下でライドシェアを4月から部分解禁する方針を決めた。福井運輸支局の髙桑宏之支局長は「県内でも配車アプリ導入やライブカメラ設置が進むことで、車両が不足しているエリアや時間帯がクリアになって対策が打ちやすくなる」と人手不足解消に期待を込めた。

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 ライドシェア導入を巡っては運転の質や安全性担保に関して不安の声もあり、詳細なルールは国交省が検討中。県タクシー協会の矢崎孝明会長は「安全・安心を確保しながら、運転手が足りない時間や曜日については、中部運輸局管内の事業者の動向も見ながら検討を進めていきたい」とした。

 県タクシー協会によると、加盟事業者全体の運転手の採用状況は、新型コロナウイルス禍の中で1カ月当たり5人前後だったが、昨年8月以降は10~15人に回復している。新幹線開業による需要増への期待や県と開催した就職説明会が要因という。引き続き女性ドライバーが働きやすい職場環境づくりなどに力を注ぐとした。

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