淀川長治も絶賛の「日曜洋画劇場」なスリラー映画を劇場公開!『真夜中の処刑ゲーム』&『エイリアン・コップ』を「未体験ゾーンの映画たち2024」でチェック

『真夜中の処刑ゲーム』© 1982 SALTER PRODUCTIONS LIMITED.

今年も開催!「未体験ゾーンの映画たち」

様々な事情で劇場公開が叶わなかった世界各国の名作や怪作、話題作を一挙に上映する「未体験ゾーンの映画たち」が2024年も開催中だ。

第13回目の開催となる「未体験ゾーンの映画たち2024」は、ヒューマントラストシネマ渋谷にて1月19日(金)から3月21日(木)までの9週間にわたって全24作品もの未体験映画を上映している(※シネ・リーブル梅田では2024年3月開催予定)。

今回紹介したいのは、満を持してのリバイバル&初スクリーン上映となる80年代~90年代の作品。当時、日本では「日曜洋画劇場」などでTV放送された際に、たまたま鑑賞した昭和の映画ファンの心をがっちりと掴んだスリラー/アクション映画で、いわゆるB級と呼ばれる低予算作品ながら、これは劇場のスクリーンで観ておきたい! と思わせてくれる隠れた快作だ。

宇宙人たちが地球でドンパチ!『エイリアン・コップ』

地球へ逃亡して来た極悪エイリアンとそれを追う“ピースメーカー”の壮絶な戦いを描く。1990年製作のSFスリラーアクション『エイリアン・コップ』。日本初公開は1991年2月で、「日曜洋画劇場」や「木曜洋画劇場」で放送されている。

エイリアンとピースメーカーの存在が軸となる本作だが、どちらも正義を謳う宇宙人のため善悪を判断しかねる脚本がまず秀逸。序盤こそ『ターミネーター』(1984年)を想起させるものの、『ヒドゥン』(1987年)のような“乗っ取り型”スリラー要素もあり、低予算ながら体を張ったアクションシーンなど好ポイントも多々あるため、改めてスクリーンで観たくなる作品だ。

監督のケヴィン・S・テニーはB級ホラー/スリラーひと筋で00年代までコンスタントに監督・脚本作を送り出している職人。テニー監督作は『死霊の世界ウィッチボード』(1986年)をはじめ絶妙なキャスティングも印象的で、本作でも『ジャッキー・ブラウン』(1997年)などで知られるロバート・フォスターや、『007/消されたライセンス』(1989年)のロバート・ダヴィらの存在が物語に重厚感を与えてくれている。

暴走自警団の不条理バイオレンス『真夜中の処刑ゲーム』

1982年製作の『真夜中の処刑ゲーム』は日本未公開ながら、「日曜洋画劇場」で放送された際に淀川長治氏が絶賛し話題を呼んだカナダ産バイオレンス・アクション。警官のストライキによって無法地帯と化した街を舞台に、極悪非道な自警団と勇気ある男女たちの攻防戦をスリリングに描く、残酷版『ホーム・アローン』。

とにかく恐ろしいのは、“秩序の回復”を掲げてゲイバーを襲撃し客と店員をヘラヘラ笑いながら惨殺するオッサン連中の存在だ。無秩序な世界で本性をあらわにする、どこにでもいそうな白人男性たち。そして複雑な構造のアパート内にブービートラップを仕掛け、手製の武器で全面対決を仕掛ける人々……! いつ誰が死んでもおかしくない展開に動悸が止まらない。

当時、淀川先生は解説で『必死の逃亡者』(1955年)を引き合いに出していたが、『要塞警察』(1976年)や『ジャッジメント・ナイト』(1993年)、『ウォリアーズ』(1979年)などが好きな人もハマるはず。

「未体験ゾーンの映画たち2024」はヒューマントラストシネマ渋谷にて2024年1月19日(金)から3月21日(木)まで開催(※シネ・リーブル梅田では2024年3月開催予定)

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