FEディルイーヤE-Prixは第2戦でデニスが圧勝。第3戦を制したキャシディが3連続表彰台でポイントリーダーに

 1月26~27日、2023/2024年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン10の第2/3戦ディルイーヤE-Prixがサウジアラビアで開催され、第2戦をジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)、第3戦をニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング)が制した。

 年明け早々に行われた開幕戦メキシコE-Prixから2週間が経ち、フォーミュラEはサウジアラビアにある砂の古都ディルイーヤへと戦いの舞台を移した。週末に2レースが開催されるダブルヘッダーとなったディルイーヤE-Prix、土曜日に行われたレース1で圧倒的な速さを見せたのはシーズン9の王者デニスだ。

 午前中にデュエル形式で行われた第2戦の予選では、シーズン1から同シリーズを戦ってきたベテランのジャン-エリック・ベルニュ(DSペンスキー)が速さを見せ、自身16回目のポールポジションを獲得。フロントロウには、昨年シリーズランキング3位のミッチ・エバンス(DSペンスキー)がつけた。

 迎えたスタートでは、各車ライバルに並びかけながら1コーナーに入るも、ポジションを守り切って順当にレースを開始。3番手にはディフェンディングチャンピオンのデニスが続き、虎視眈々と戦局を見極める構えだ。

2023/24年フォーミュラE第2戦ディルイーヤE-Prix 決勝レーススタート

 フォーミュラEの決勝レースでは、50kwの出力向上が可能なアタックモードを2度使用することが義務付けられている。決められたコーナーのアウト側に設置されている所定のエリアを通過することで1度使用することができるが、それに伴ってポジションを下げてしまうことが多く、使用のタイミングが勝敗を大きく左右する。

 上位3台のなかで先に動いたのは、首位のベルニュ。アタックモードを使用して3番手にポジション落とすと、翌周には2番手のエバンスもアタックモードを使用し、2台がデニスに首位を譲る展開となった。

 デニスはここで、アタックモード使用時のポジションダウンを防ぐべくペースアップ。迎えた翌周に狙いのアタックモードを使用すると、その作戦に感づいていたベテランのベルニュが切り込むラインで首位を奪取する。

 先頭に立った彼は、すぐさま2度目のアタックモードを使用しいち早く義務を消化する作戦に出る。しかし、再び首位に立ったデニスは、今が最後のチャンスとばかりにペースを上げ、2度目のアタックモードの使用へ。今度は2番手のエバンスとの間隔に余裕を持って、ロスなく作戦を遂行し、首位の座を強固なものにした。

ジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE) 2023/24年フォーミュラE第2戦ディルイーヤE-Prix

 デニス、ベルニュ、エバンスの順で隊列は落ち着き、各車順調に周回を重ねていく。中団勢では、アタックモードの使用を遅らせていたキャシディが4番手までポジションを上げており、3番手を走るチームメイトのエバンスの背後で着実に2度のアタックモードを使用した。

 先頭のデニスは、2番手ベルニュとのギャップをぐんぐん広げて独走状態へ入り、最終的に13.289秒の差をつけて自身6度目の勝利を飾った。

 ラストスパートをかけて2番手ベルニュに追いついたエバンスは、最終手前の15コーナーで最後の勝負に出るも、痛恨のオーバーラン。ベルニュが2位を守り切ってチェッカーを受け、エバンスを尻目にキャシディが3位の座を獲得した。

ニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング) 2023/24年フォーミュラE第2戦ディルイーヤE-Prix
2023/24年フォーミュラE第2戦ディルイーヤE-Prixを制したジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)
2023/24年フォーミュラE第2戦ディルイーヤE-Prix 表彰台の様子

■2023/24年フォーミュラE第2戦ディルイーヤE-Prix 順位結果

Pos. No. Driver Team Time/Gaps Grid

1 1 J.デニス アンドレッティ・フォーミュラE 45’56.452 3

2 25 J-E.ベルニュ DSペンスキー 13.289 1

3 37 N.キャシディ ジャガーTCSレーシング 13.824 7

4 8 S.バード ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム 14.620 9

5 9 M.エバンス ジャガーTCSレーシング 15.174 2

6 17 N.ナト アンドレッティ・フォーミュラE 15.661 5

7 7 M.ギュンター マセラティMSGレーシング 16.267 8

8 94 P.ウェーレイン タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 16.387 6

9 3 S.セッテ・カマラ ERTフォーミュラEチーム 26.606 4

10 4 R.フラインス エンビジョン・レーシング 26.968 12

11 5 J.ヒューズ ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム 27.021 10

12 16 S.ブエミ エンビジョン・レーシング 27.472 13

13 22 O.ローランド ニッサン・フォーミュラEチーム 27.973 14

14 2 S.バンドーン DSペンスキー 28.366 11

15 48 E.モルタラ マヒンドラ・レーシング 29.397 19

16 13 A.F.ダ・コスタ タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 29.885 20

17 21 N.デ・フリース マヒンドラ・レーシング 30.419 22

18 51 N.ミューラー ABTクプラフォーミュラEチーム 30.884 16

19 11 L.ディ・グラッシ ABTクプラフォーミュラEチーム 31.188 17

20 18 J.ダルバラ マセラティMSGレーシング 31.541 21

21 33 D.ティクトゥム ERTフォーミュラEチーム 1’04.712 18

22 23 S.フェネストラズ ニッサン・フォーミュラEチーム DNF 15

■ニッサンのローランドが第3戦で3位表彰台

 翌日行われた第3戦、午前中の予選では日本から参戦するニッサン・フォーミュラEチームのオリバー・ローランドがデュエル形式のタイムバトルを制し、自身6度目のポールポジションを獲得した。

 しかし、迎えたスタートでローランドは加速で苦戦。2番手から蹴り出したロビン・フラインス(エンビジョン・レーシング)に首位の座を明け渡してしまった。

 3番手には、グリッドポジション通りの位置を守ったキャシディが続く。フラインス、ローランド、キャシディの順で隊列ができあがり、ここからアタックモード使用の探り合いが始まっていく。

2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix 決勝レーススタート

 最初に動いたのは、2番手のローランド。翌周には首位フラインスもアタックモードを使用し、キャシディは労せずして先頭に立つ。前日レースを勝利したデニスのごとく、ペースをあげてロスなく使用義務を消化する展開を狙うキャシディはファステストラップを記録しながらスパートをかけていく。

 2周を経て、1.6秒にギャップを広げた彼は満を持して1度目のアタックモードを使用。ここで2番手のフラインスは、アタックモード使用のタイミングを重ねることで先に義務を消化する作戦に出た。

 フラインスの狙いは、相手が2度目のアタックモードに入る際に首位の座を確実に奪う展開だ。キャシディが勝利を手中に収めるには、ここからのフラインスとのペースバトルがカギになる。

 そして前を行く彼は、数周前に自分が記録した最速タイムを更新する走りを披露。速さでもって先頭を守り切ったキャシディは、2度目のアタックモードの使用を完遂した。

ニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング) 2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix

 以降は、バッテリーマネジメントを行いながらも危なげない走りでリードを守り、そのままチェッカーフラッグを受けた。2位にフラインスが入り、3位にはローランドが入ってニッサン復帰後3戦目での表彰台を獲得した。

 これで、開幕戦メキシコから3戦連続の表彰台フィニッシュとなったキャシディがポイントランキングのトップに浮上。19点差のランキング2位には、開幕戦で優勝したパスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)が続いている。

 次回大会は、ブラジルで行われるサンパウロE-Prix。同地で2度目の開催となる第4戦は、3月16日(土)にサンパウロ市街地サーキットにて開催される予定だ。

オリバー・ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム) 2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix
2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix 表彰台の様子

■2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix 順位結果

Pos. No. Driver Team Time/Gaps Grid

1 37 N.キャシディ ジャガーTCSレーシング 43’51.868 3

2 4 R.フラインス エンビジョン・レーシング 1.192 2

3 22 O.ローランド ニッサン・フォーミュラEチーム 1.875 1

4 5 J.ヒューズ ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム 2.931 6

5 2 S.バンドーン DSペンスキー 3.397 4

6 23 S.フェネストラズ ニッサン・フォーミュラEチーム 4.598 7

7 94 P.ウェーレイン タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 4.816 10

8 25 J-E.ベルニュ DSペンスキー 5.195 8

9 7 M.ギュンター マセラティMSGレーシング 5.709 11

10 1 J.デニス アンドレッティ・フォーミュラE 6.340 13

11 9 M.エバンス ジャガーTCSレーシング 6.866 18

12 48 E.モルタラ マヒンドラ・レーシング 10.116 14

13 51 N.ミューラー ABTクプラフォーミュラEチーム 14.462 16

14 13 A.F.ダ・コスタ タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 17.960 21

15 21 N.デ・フリース マヒンドラ・レーシング 19.295 17

16 17 N.ナト アンドレッティ・フォーミュラE 20.235 19

17 3 S.セッテ・カマラ ERTフォーミュラEチーム 21.564 20

18 11 L.ディ・グラッシ ABTクプラフォーミュラEチーム 25.639 9

19 33 D.ティクトゥム ERTフォーミュラEチーム DNF 15

20 18 J.ダルバラ マセラティMSGレーシング DNF 5

21 16 S.ブエミ エンビジョン・レーシング DNS 0

22 8 S.バード ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム DNF 12

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