【24年度調剤報酬改定】「たばこ販売していないこと」が地域支援体制加算の施設基準に/ドラッグストア併設調剤運営に影響か

【2024.01.30配信】厚生労働省は1月26日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「個別改定項目(その1)」を提示した。点数なしの、いわゆる「短冊」だ。地域支援体制加算の施設基準には「たばこ販売していないこと」が加わった。ドラッグストア併設調剤運営に影響しそうだ。

ドラッグストア協会調査では「たばこ販売していない」は会員企業の32%

「短冊」では、地域支援体制加算の施設基準として、「地域医療に関連する取組の実施」を規定した。
以下を満たすこととした。

ア 要指導医薬品及び一般用医薬品を販売していること。なお、要指導医薬品及び一般用医薬品の販売の際には、購入される要指導医薬品及び一般用医薬品のみに着目するのではなく、購入者の薬剤服用歴の記録に基づき、情報提供を行い、必要に応じて医療機関へのアクセスの確保を行っていること。また、要指導医薬品等は単に最低限の品目を有していればいいものではなく、購入を希望して来局する者が症状等に応じて必要な医薬品が選択できるよう、様々な種類の医薬品を取り扱うべきであり、健康サポート薬局(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第1条第2項第5号で規定する薬局)の届出要件とされている 48 薬効群の品目を取り扱うこと。薬効群については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の一般用医薬品・要指導医薬品の添付文書検索システムに記載されているものであること。

イ 健康相談又は健康教室を行うとともに、栄養・食生活、身体活動・運動、休養、こころの健康づくり、飲酒、喫煙など生活習慣全般に係る相談について応需・対応し、地域住民の生活習慣の改善、疾病の予防に資する取組を行うといった健康情報拠点としての役割を果たすこと。

ウ 緊急避妊薬を備蓄するとともに、当該医薬品を必要とする者に対する相談について適切に応需・対応し、調剤を行う体制を整備していること。

エ 当該保険薬局の敷地内における禁煙の取扱いについて、次の基準を満たしていること。
① 当該保険薬局の敷地内が禁煙であること。
② 保険薬局が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険薬局の保有又は借用している部分が禁煙であること。

オ 当該保険薬局及び当該薬局に併設される医薬品の店舗販売業(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第25条第1号に基づく許可を有する店舗)において、たばこ及び喫煙器具を販売していないこと。

特に「たばこを販売していないこと」との規定は、ドラッグストア併設調剤の運営に影響を及ぼしそうだ。
ドラッグストアでは最近、ウエルシア薬局がたばこの販売とりやめを公表するなど、たばこを販売しない取り組みもあるが、利便性から販売を継続している企業も少なくなく、一定の利益源となっているとみられる。

日本チェーンドラッグストア協会が2023年4月に公表した調査では、「たばこ販売していない」のは会員企業の32%だった。調査は4月7日から4月13日まで、会員企業107社を対象に実施。 回答した50社のうち、たばこを販売していると回答したのは34社、販売していないとしたのは16社だった。回答企業の32%でたばこを販売していないことが分かった。
そのほか自由記述では、「販売を継続する」という意見のほか、「健康の観点から販売をとりやめすることに理解はできるが、当社では利便性の観点から販売している」との意見があったという。協会ではたばこの販売は個々の会員企業の判断としているが、調査実施については、外部から販売状況に関する問い合わせがあったことから手掛けたとしていた。

なお、地域支援体制加算は調剤のベーシックな算定である「調剤基本料」に紐づく加算で、調剤実施薬局にとって算定如何は業績への影響も小さくない。大手チェーン薬局に対しては調剤基本料の適正化が行われているため、補完する意味でも地域支援体制加算の加算算定意欲は高まっていた。

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