原油先物上昇、地政学的緊張の高まりで

[シンガポール 30日 ロイター] - アジア時間の原油先物は上昇。中東での地政学的緊張の高まりで、供給懸念が引き続き広がっている。

0105GMT(日本時間午前10時05分)時点で、北海ブレント先物は0.25ドル(0.3%)上昇し1バレル=82.65ドル。米WTI先物は0.31ドル(0.4%)高の77.09ドル。

前日は、香港の高等法院(高裁)が中国不動産開発大手、中国恒大集団に清算を命じたことで中国の需要に対する懸念が高まり、ともに1ドル超下落した。

ただ市場は依然緊張した状態にある。米政府は29日、ヨルダン北東部の米軍基地へのドローン攻撃で死傷者が出たことを受け、米国と米軍を守るために「必要なあらゆる行動を取る」と言明した。

コモンウェルス銀行のアナリストは「米国とイランの緊張がエスカレートすれば、特に直接対決となれば、イランの石油供給に悪影響が及ぶリスクが高まる。イランの石油輸出は、制裁強化の可能性によって最も影響を受けやすい」と指摘した。

イランは昨年ほとんど日量120万─160万バレルの原油を輸出しており、これは世界の石油供給の1─1.5%に相当する。

イランが米国にどう対応するかも、原油市場の行方を左右する見込みで、イランがホルムズ海峡を封鎖すると脅していることは大きな懸念要因だという。

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