【後編】実際に子どもが守った約束とは?どんなルールがいい? 臨床心理士の視点からお伝えします!

前編の話
子どもと約束したのに、うまく守ってくれなくて困ってしまう、どうすればいいの?そんな悩みに、臨床心理士である、大阪カウンセリングセンターBellflower代表、町田 奈穂さんから前後編に分けてお話を伺いしました。今回は後編です。
前回はルールを守れない子どもの心理や、ルールのつくり方についてお話ししました。は実際にやってみた例や、ルールを守れない他の要因についてお話しします。

実際にやってみて良かったルール

子どもが夜遅くまでTVを見てしまうことにお困りで、相談に来られた親御さんに頑張っていただいたケースです。
その子は毎晩9時30分過ぎまでTVを見ることが辞められず、困った親御さんが相談に来られました。上記の約束事や子どもの精神発達についてお話をし、お子さんへ「21時から寝る準備を一緒にしたいからそれまでにTVを止める時間を決めよう」と声をかけたそうです。「じゃあ8時59分」とお子さんが決め、そこから毎日タイマーをつけるようにしたそうです。
最初の数日間は泣いたり「うーっ」と唸ったり、非常に辛そうにしていたそうです。しかし、「TV消せて偉いね」「自分で決めたことをしっかり守られているね」などポジティブな声かけを親御さんも頑張って続けてくださいました。
その結果、自分でタイマーがなる前にTVを消したり、逆にタイマーをつけ忘れている親御さんへ「もうTV終わりの時間だよ」と言って声をかけてくれるようになったそうです。夜11時だったお子さんの入眠時間も今では9時30分と随分と睡眠時間もしっかりと確保できるようになりました。

どうしてもルールが守れない時は、他の要因も

また、前回紹介した登校時間のルールなどは、もちろん守ることも大切ですが、子どもが学校に行きたがらない理由を確認することも必要不可欠です。
前回紹介したのは、あくまで精神的に未熟な子どもが休日と平日の気持ちの切り替えが出来ず困っている場合に有効な対処法です。
いじめや勉強についていけないといった学習の問題や教師とのトラブルなど、子どもが言語化できず見えにくい学校トラブルはたくさんあります。このようなトラブルが生じている時には無理に学校へ行かせることは逆効果です。
同じように、何度も決めたゲームのルールを破るといった行為には、実はルールが理解出来ていないといった問題や、悔しいという感情が昂りすぎて自分の行動を制御できないといった気質的な子どもの特性の問題が隠れていることがあります。そのような場合には上記で紹介したような方法では効果がありません。
ですので、いずれの場合においても、子どもが約束を守らない、ゲームなどのルールを破ってしまうことが続く場合には、まずは“なぜ守れないのか?”という理由や原因を一緒に考えてみてください。ご家族内での相談だけでなく、学校や専門家へ相談をしてみることも大切です。子どもの発達を取り扱う児童精神科や教育委員会が主導している教育相談などの機関へぜひ一度ご相談してみてください。

執筆者

町田奈穂
臨床心理士・公認心理師

経歴
同志社大学大学院 心理学研究科修了。
在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。
修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。
2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。
そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflower(大阪府寝屋川市) を設立。
現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として大阪カウンセリングセンターBellflowerを新規事業とし、支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。

大阪カウンセリングセンターBellflower
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