人間愛貫く 石井十次の精神継承を 岡山で没後110年記念会

没後110年を迎えた石井十次をしのび献花する参加者

 明治期に日本初の孤児施設・岡山孤児院を岡山市に創設した石井十次(1865~1914年)の没後110年記念会が、命日に当たる30日、顕彰資料室がある旧市立大宮幼稚園(同市東区下阿知)であった。約70人が人間愛を貫く「十次精神」の実践を誓った。

 記念会を企画した顕彰団体「石井十次に学ぶ会」の東森貢会長(73)が「十次が貫いた『人を信じる姿勢』の大切さを継承し広めていきたい」と呼びかけた。

 旭川荘の末光茂名誉理事長や岡山県民生委員児童委員協議会の高山科子会長、地元小学生らが十次の写真の前にサザンカをささげ、遺徳をしのんだ。

 十次のひ孫で児童養護施設などを運営する石井記念友愛社(宮崎県)の児嶋草次郎理事長は「災害や戦争の時代。子どもらのために友愛の輪を広げて」とのメッセージを寄せた。

 十次は1887年、遍路の女性から男児を預かったのを機に、三友寺(同市中区門田屋敷)に岡山孤児院を創設した。

© 株式会社山陽新聞社