大地震に備える 気象台職員に聞く 奈良の地震の特徴とは

突然やってくる大地震。奈良県内では南海トラフ巨大地震などが発生した場合、大きな被害が予想されています。地震の特徴を知り、どのように備えるか…。奈良地方気象台を取材しました。

奈良市にある奈良地方気象台。ここで地震や津波に関する業務を担当する森裕輝さんです。県内で大きな被害をもたらすと予想される地震とは…。

奈良地方気象台 南海トラフ地震防災官・森 裕輝さん

「奈良県では内陸活断層の地震と、南海トラフ地震の被害が想定されています」

奈良県内には多くの活断層がありますが、このうち森さんが特に注意が必要と話すのは、京都府南部から桜井市まで伸びる「奈良盆地東縁断層帯」です。想定される地震の最大マグニチュードは能登半島地震とほぼ同じ規模の7.4で、揺れや火災による死者は約5100人になると想定されています。

奈良地方気象台 南海トラフ地震防災官・森 裕輝さん

「奈良市の足元に断層があるような状態ですので、特に県北部を中心に甚大な被害が予想されています。県南部には活断層は見つかっていませんが、まだ見つかっていないだけかもしれませんし、内陸でマグニチュード6程度の規模の地震は日本どこでも起こると言われていますので、内陸の地震、活断層の地震というのは注意が必要です。」

また、内陸の地震の場合は緊急地震速報の発表が揺れの到達に間に合わないケースもあるといい、森さんはすぐに身を守る行動をとるようにしてほしいと呼びかけます。そして、30年以内に70%から80%の確率で発生が予想されている「南海トラフ巨大地震」。静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7の激しい揺れ、太平洋沿岸では10mを超える大津波の襲来が想定されています。内閣府が2012年に試算した地震の発生場所や時間、季節ごとの被害状況では、全国の死者数は最大32万人余りにのぼるとされています。この場合、奈良県では約4万7000棟の建物が全壊し、約1700人が死亡するとみられています。

奈良地方気象台 南海トラフ地震防災官・森 裕輝さん

「断層が長いので、マグニチュード8から9クラスの地震だと、2分から3分激しい揺れが続くと想定されています。県北西部に関しては液状化の可能性もあると言われています。(南部では)崖崩れ、山崩れで道路が塞がり、孤立集落となってしまう可能性がありますので救助に行くのは時間がかかります。」

また南海トラフでは大きな地震が連続して起きるケースに注意が必要だといいます。

奈良地方気象台 南海トラフ地震防災官・森 裕輝さん

「1854年の安政の時や、1944年、1946年の昭和の時は、先に東海地方で地震が起こって、その32時間後や2年後に西側でも巨大な地震が起こったと言われています。南海トラフは起こる場所が様々で、連動するといったいろんな多様性がある地震というふうに言われています。」

森さんは今できる備えをしっかりと行う大切さを呼びかけます。

奈良地方気象台 南海トラフ地震防災官・森 裕輝さん

「まずは家屋の耐震化、そして家具の固定ですね。これが基本ですので、ぜひやっておくようにお願いします。奈良県周辺でも規模の大きな地震というのが、いつどこで起こってもおかしくありません。自分の命、家族や大切な方の命を守るために、日頃から地震への備えを進めていただきたいと思います。」

内陸型地震、そして南海トラフ巨大地震。県内で起こる可能性のある地震の特徴を知り、防災への取り組みを進めることが求められます。

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