豪華キャスト勢揃い!日本初演 ミュージカル『カム フロム アウェイ』製作発表会レポ

数々の演劇賞を受賞したブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』が`24年3月に豪華キャストで日本初演。日生劇場60周年イヤーの締めくくりを飾る。
`01年の同時多発テロの裏で起きた実話を基にしたストーリー。今回、25歳以下限定のチケットが発売されるほか、視覚・聴覚に障害のあるお客様への鑑賞サポートが実施。

1月30日にカナダ大使館で製作発表会が行われた。物語の場所はカナダの小さな町。大使の挨拶に続きホリプロの菅井社長が挨拶。実は今年は日本とカナダの国交95周年という節目、1929年5月21日にはカナダが東京に公使館を開設し、日加間の修好が正式に樹立した。ニューファンドランドについてカナダ観光局日本地区代表の半藤から解説。風光明媚な場所で春には氷山が流れ、人々は温かくで陽気、観光地としては「安全、安心」とのプレゼン。

そして、キャスト全員が登壇。安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森 公美子、柚希礼音、吉原光夫(50音順)。揃いのパーカースウェット、早くも座組みの一体感を感じる。

このメンバーで実に100人ほどの登場人物を演じるが、開演と同時に一気に始まる。トニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞、ニューヨーク・タイムズ紙の批評家賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞した本作は、2001年9月11日の同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランドで起きた驚くべき実話を基にしている。音楽と共にスピーディーに伝えられる5日間の物語。
安蘭けいはテキサスからきたバツイチの女性・ダイアン。「大使館で製作発表会はなかなかない」と感慨深げに。実際にBWで観劇したとのこと。ダイアン以外の役については「一言。どうにか(役の)個性を出そうと声を変えてみたら、やり過ぎと(演出家から)言われた」だそう。

石川禅は仕事一筋のイギリス人石油技師ニック。「七転八倒しながら」と役と奮闘中。このニック以外に、もちろん複数役を演じる。浦井健治はケビンT、ロサンゼルスの環境エネルギー会社の経営者、加藤和樹はボブ、筋金入りのニューヨーカー、咲妃みゆは地元TV局の熱意溢れる新人リポーター・ジャニス、シルビア・グラブは3児の母ボニー、ガンダー地区の動物愛護協会の会長、田代万里生はケビンJ、ケビンの恋人で秘書、橋本さとしはこの町・ガンダーの町長・クロード、濱田めぐみはアメリカン航空初の女性機長・ビバリー、森 公美子はマンハッタン消防士の母・ハンナ、柚希礼音はガンダー・レジオン(在郷軍人会)の会長・ビューラー、吉原光夫はガンダー警察の個性的な巡査・オズ。降り立った人々も町の人々も個性的で立場や人種も様々。

「温かい物語」と咲妃みゆがコメント。さらに「事件をニュースで知った時のショックを今だに覚えています」と語る、当時小学生だったそう。「こんな物語が実際に起こっていた…感動が増しています。大きな悲しみや憎しみを生んだのは人で、苦しみを解き放したのも人」とコメント。

題材は9・11のテロだが、その翌日の、しかもカナダの小さな町での出来事。実話であり、また、登場人物たちも「市井の人々」だが、実在している人たち。「実名」と田代万里生がコメント、それだけにリアル。田代は続けて「3・11、また能登の地震もありましたが、そこからどう立ち上がるか」と語る。
また、この作品がトニー賞を取る前に観劇したというシルビア・グラブ、予備知識なく観たとか。「本当に素晴らしかった!」と絶賛。しかも「裏で高値でチケットを買って…」と…おっと。「オープニングから地響きで鼓動が高まって、ワクワクしました。その後、内容がわかった瞬間に泣き出してしまい…そんな題材を愛のある舞台にしていることに感動。もし日本で上演するなら絶対に参加したいと思っていた」とのこと(夢は叶う)。

稽古は始まっているが、橋本さとしは「稽古はめちゃ大変!満天の星のようにバミリが!!これで一瞬、引きました(笑)」。森公美子は息子がマンハッタンの消防士をやってるという設定で常に息子の安否を心配する、という役どころだが、この設定、涙もろい森にとっては…「その気持ちを思うと涙が出てしまうんですけど…」と言いつつ、号泣し、濱田めぐみと柚希礼音が慰める。だが、この役以外にも演じる役が多数あるので泣いてると…。「泣いてはダメ!と思ってこらえるけど、心は穏やかじゃなくて“今、私誰の役?どこに行けばいいの?”って思わず確認しちゃいます」と言い会場は笑いに。

濱田めぐみは「誰もが共感できて持って帰れる作品」とコメント、テーマは愛。柚希礼音は「こんなすごいメンバーと!稽古前はドキドキしてました」と語る。ちなみに安蘭けいと柚希礼音、宝塚歌劇団雪組出身、安蘭けいがトップスターだった時は柚希礼音は2番手。この2人の共演は宝塚ファンにとっては楽しみポイント。吉原光夫は製作発表会が嫌いだそう。おっと!ただ、今日は違うようで…「素敵なホールで…ここでお芝居できないかな?」と言い周囲を笑わせた。

「ここで製作発表会がやれてよかった」とコメント。「「日常でテロが起きているような気がする…自分たちの居場所や表現、SNSでテロが起きて失われている気がする」と言い、「今のミュージカルには、なかなかないもの」と語る。何かあった時に人はどうするのか、共感と同時に様々な問題提起してくれる作品になりそうだ。
そして記者席から質問、豪華キャストについて「びっくりしました!」(シルビア・グラブ)、「楽しみ、ワクワク」(濱田めぐみ)、「稽古楽しみ」(柚希礼音)などの回答、大喜利発言は「俺もついにここまできたか!!」(橋本さとし)、「楽屋どーするんだ!」(石川禅)。

フォトセッションの後、町長役の橋本さとしがシメを「宣伝よろしく!!リピートよろしく!!」大笑いの中で会見は終了した。

物語
9月11日
あの日、世界が停止した。

9月12日
ある小さな町で起きた奇跡の物語。
この物語は私たちに、世界に希望を与えた。

2001年9月11日、ニューヨークで同時多発テロ事件の発生。アメリカの領空が急遽閉鎖された。目的地を失った38機の飛行機と7,000人の乗客・乗員たち。行き場のない38機の飛行機は、カナダのニューファンドランド島のガンダー国際空港に降り立つ。
カナダの小さな町。わずか1万人の人口は一夜にして約2倍となった。人種も出身も様々な人々はこの地でどんな5日間を過ごし、飛びたつのか―

概要
<東京公演>
期間:2024年3月7日(木)~29日(金)
会場:日生劇場
主催・企画制作:ホリプロ
※大阪、愛知、福岡、熊本、群馬公演あり
<キャスト>(五十音順)
安蘭けい
石川 禅
浦井健治
加藤和樹
咲妃みゆ
シルビア・グラブ
田代万里生
橋本さとし
濱田めぐみ
森 公美子
柚希礼音
吉原光夫
スタンバイ:
上條 駿、栗山絵美、湊 陽奈、安福 毅
<スタッフ>
脚本・音楽・歌詞:アイリーン・サンコフ/デイヴィッド・ヘイン
演出:クリストファー・アシュリー
ミュージカルステージング:ケリー・ディヴァイン
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
■レジデントチーム
音楽監督:甲斐正人
演出補:田中麻衣子
振付補:青木美保
美術補:石原 敬
照明:日下靖順
音響:山本浩一
衣裳:阿部朱美
ヘアメイク:鎌田直樹
ステージマネージャー/プロダクションマネージャー:徳永泰子
テクニカルディレクター:清水重光
演出助手:西 祐子
音楽監督助手/キーボードコンダクター:竹内 聡
歌唱指導:やまぐちあきこ

公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/

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