今の時代、子どもは「大学」に進学させて当然ですか? 世帯年収「500万円」で、子どもも勉強が好きではないのですが、将来の選択肢を広げるためにも行かせるべきでしょうか?

4年制大学の進学率と学費

文部科学省の「令和5年度学校基本調査統計結果の概要」によれば、4年制大学の進学率は57.7%と過去最高になりました。では、国立大学、公立大学、私立大学では実際どれくらいの費用がかかるのかを比較してみます。

・国立大学
文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、国立大学の入学料は28万2000円、授業料は年額53万5800円です。4年間通う場合の授業料は214万3200円になり、入学料との合計は242万5200円になります。

医歯薬学部は6年間通うので、授業料は321万4800円になり、入学料との合計は349万6800円です。国立大学は学部や地域による費用の差はなく、どの学部・どの地域の大学に通ってもかかる費用は一律です。

・公立大学
公立大学の入学料は39万1305円、授業料は年額53万6363円(令和3年)です。住んでいる地域にある公立大学に通う場合は、地域外から通う場合と比べて入学料が安くなります。ここに提示した公立大学の金額は平均額で、地域外入学をした場合の金額です。

・私立大学
文部科学省の「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、私立大学の入学料は24万806円、授業料が95万9205円、施設設備費が16万5271円、実験実習費が2万8864円、その他が8万3194円で、合計147万7339円です。

私立大学は学部によってかかる費用が異なります。令和3年度の文科系学部平均では年間118万8991円、理系学部平均では156万6262円、医歯系学部平均では489万539円、その他学部平均では145万9612円です。

大学無償化制度について

令和2年4月より、学びたい気持ちがあり、世帯年収や資産の要件を満たしている学生全員に対して授業料・入学金の免除・減免、給付型奨学金の支給をおこなう「高等教育の就学支援新制度」が実施されました。

支援の金額は世帯収入、進学先の学校の種類、自宅通学か1人暮らしかによって異なります。年収の目安は家族構成や年齢によって異なり、世帯年収と家族構成を入力して支援を受けられるかシミュレーションが可能です。

支援を受けるには、しっかりと授業に出席して勉学に励むことが求められます。成績が悪い場合や授業の出席率が悪い場合は、支援の打ち切りや返済を求められることがあるため注意が必要です。

大学に進学するメリット

大学に進学するメリットを紹介します。

・専門的に学問を学べる
高校までの学習は学問の基礎といえるもので、大学ではより専門的な内容を学ぶことができます。基本的に大学生は自由な時間がたくさんあるので、学問に限らず興味のあることに知見を広げたり資格試験の勉強に励んだりすることも可能です。

・大学卒でないとなれない職業がある
医師、獣医師、薬剤師は大学で学び、国家試験に合格しなければなることができません。公立の小中高の教員も大学で所定の単位を取得して教員免許を得たうえで、都道府県の教員採用試験に合格する必要があります。弁護士、裁判官、検事になるには、司法試験に合格しなければならないため、大学で体系的に法律を学ぶ必要があります。

・高校卒と比べて収入が多い
就職の際に大学卒であることが条件となっている企業は多いです。特に大企業ではその傾向が強く見られます。大学卒を条件としている場合、高校卒の人は受験資格すらありません。また、就職後も大学卒と高校卒では収入は大きく異なる場合が多いです。

世帯年収500万円では大学無償化の支援を受けられるケースは少ない

年収500万円の場合、大学無償化の支援を受けられるケースは子どもの人数が多い場合に限られます。また、学ぶ意欲があることが支援の大前提となっているため、勉強が好きではない場合は条件を満たしているとはいえないでしょう。

しかし、大学に進学することで卒業後に就く職業に幅が出ますし、年収も高校卒と大学卒では大きく異なることが多いです。専攻などにもよりますが、基本的に大学4年間は自由な時間もたくさんあるため、自分がやりたいことが見つかっている場合はもちろん、そうでない場合もさまざまな知見を広げられる良いチャンスです。金銭的な余裕があるなら、進学をめざしてはいかがでしょうか。

出典

文部科学省 令和5年度学校基本調査の公表について
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
文部科学省 令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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