スペースワン、カイロスロケット初号機をスペースポート紀伊から打ち上げへ 事前購入制の有料見学場も開設

日本の民間宇宙企業スペースワン株式会社は2024年1月26日、「カイロス」ロケット初号機の打ち上げを2024年3月9日に行うと発表しました。カイロスは和歌山県の「スペースポート紀伊」から発射される予定です。【最終更新:2024年1月30日16時台】

【▲ スペースポート紀伊から打ち上げられる「カイロス」ロケットの想像図(Credit: スペースワン )】

スペースワンによると、カイロス初号機は日本時間2024年3月9日11時0分~12時0分頃の間に発射される予定です。打ち上げの予備期間は同年3月10日~3月31日に設定されています。

スペースワンが開発したカイロス(KAIROS:Kii-based Advanced & Instant Rocket System)は全長約18m・直径1.35m・重量約23トンの3段式固体燃料ロケットで、4段目として液体燃料を使用する軌道修正を行うためのキックステージ(PBS)を搭載します。ペイロード(人工衛星などの搭載物)の打ち上げ能力は軌道傾斜角97度・高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に重量150kg、軌道傾斜角33度・高度500kmの地球低軌道(LEO)に重量250kgとされています。

【▲「カイロス」ロケットの想像図(Credit: スペースワン )】

カイロス初号機に搭載されるのは内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」です。内閣衛星情報センターによると、この衛星は日本の情報収集衛星に不測の事態が発生した際、一定期間その機能を代替することを目的として短期間に打ち上げ可能な小型衛星の実証研究を実施するために打ち上げられるということです。

【▲「カイロス」ロケットに搭載される内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」の想像図(Credit: 内閣衛星情報センター )】

スペースワンはキヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行などの出資により2018年7月に設立されました。カイロス初号機が打ち上げられるスペースポート紀伊はスペースワンが建設した民間ロケットの打ち上げ場で、和歌山県串本町と那智勝浦町にまたがります。同社によると建設工事は2019年に着工し、2021年に完成して運用が開始されました。

スペースポート紀伊がある串本町や那智勝浦町をはじめ商工団体や交通関係の機関等からなる「スペースポート紀伊周辺地域協議会」は、カイロス初号機の打ち上げにあたり打ち上げ見学場を設けています。見学場は串本町側の田原海水浴場と那智勝浦町側の旧浦神小学校の2か所で、入場するためには完全予約制(当日販売なし)の有料チケットが必要です。

見学場へのアクセス方法はJR線を利用して最寄り駅から徒歩で移動する他に、専用駐車場に車を停めて専用バスで見学場へ移動する「パーク&ライド」があります(※編注:2024年1月30日時点で田原海水浴場のパーク&ライド(入場チケット付き)は完売)。見学場にはステージや大型モニターが設けられ、ロケットに関する解説や打ち上げ中継を見ることもできるということです。見学に関する詳細な情報やチケット情報は以下URLから「カイロスロケット初号機打上げ応援サイト」をご確認下さい。

なお、打ち上げ中継を含むステージイベントは、カイロスロケット初号機打上げ応援サイトなどで無料配信される予定です。

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文/出口隼詩 編集/sorae編集部

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