『よう実』が“神回”に ブレイバーン以上の今期一番のウザキャラ山内【1月22日~1月28日】

毎週、「ほとんどの作品を観ている」アニメライター・はるのおとによる週刊連載「【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク」。1月22日から1月28日に放送された分から注目の“神回”をピックアップ!(編集部)

メディアミックスと原作、原作者と脚本家とその間に入るいろんな人などなど、いろいろと考えさせられた今週。アニメ関連が多いとはいえ、これまでそれなりの人にインタビューなどで話を聞いてきた経験からすると、本当に作品ごとにケースバイケースなので、慎重に情報を精査するのは前提のうえで、それでも正義ぶった誹謗中傷などはしないでおこうと改めて思うととともに、素晴らしい原作で楽しませてくれた先生のご冥福をお祈りいたします。

というわけで、今回は原作者の参加によって生まれた神回から。

●アニメと原作の幸福な関係
『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました2nd』第4話「元勇者と暗殺者の日常」

歴代No.1タイトルが長いアニメであるところの本作(【アニメタイトル文字数選手権】なろう系/異世界ファンタジーが長そうと思い数えてみた)。この第4話は原作小説の筆者であるざっぽん先生が脚本を描き下ろしたオリジナルストーリーでした。

このアニメの第2期は、主人公のレッドと恋人のリットはすっかりイチャイチャしまくるカップルとして完成されているため、自然とその他のキャラクターが気になるところでしたが、第4話はレッドの妹である元勇者のルーティと暗殺者のティセという友達同士の少女のお話。ルーティの異常な身体能力から来るギャグシーンに始まり、彼女たちの愉快な日常を描きつつ、とある騒動を通じて暗殺者のティセにとってのスローライフが定義される……といった内容で、単話としてのまとまりが非常によかったです。

ちなみに今回はサービスシーンも多めでした(ティセがお風呂が好きだから仕方ないのです)。この采配は、第4話の絵コンテも担当した星野真総監督によるものだとか。こういった、いい具合のメディアミックスがもっとたくさん観られるといいですね。

●“山内”がすごい
『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』第4話「あなたにできるのは自分の目的のために行動することまでで、その結果を望むようにすることはできない。」

今期のウザい……というか圧が強いキャラクターと言えば多くの人が『勇気爆発バーンブレイバーン』のブレイバーンを思い浮かべるでしょうが、この話に出てくる“山内”というキャラクターもすごかった。

今週はちょっとフライング気味にいくつかのアニメでバレンタインエピソードが重なりましたが、この『よう実3rd』の第4話もそのひとつ。そっち方面に関する悲喜こもごもは「やっぱり主人公はモテるんだな~」くらいの印象で終わったのですが、バレンタインデー翌朝のクラスの様子がおかしい。

何者かによって根も葉もない噂が掲示板に多数書き込まれており、それによってクラスは大混乱。そこでクラスメイトの山内というお調子者な男が取る行動が……! ちょっと、TVのこちら側でも軽くヒイてしまうほどの行動について詳細はぜひ本編を観てほしいですが、でも「こういう奴って現実にもいるよな~」と考えさせられることもあり。

正直なところ、筆者はこれまで『よう実』を観てきたものの、この山内という男を覚えていなかったのですが、今後注目していきたい存在です。

●「ミュージカルで解決!」はこれくらいの勢いがいい
『月刊モー想科学』第3話「も~、止まらない!? ミュージカル口調……!?」

「も~びっくり!」な事件や「も~無理!」なオーバーサイエンスな現象を扱う科学雑誌・『月刊モー想科学』の編集部が奇妙な事件に巻き込まれるという奇抜なコメディですが、この第3話の破壊力は特筆ものでした。

人気舞台『トミオとオムレット』(こういったネーミングセンスも抜群)の主演俳優がなぜかミュージカル口調になってしまうという、サブタイトル通りのミュージカル回なのですが、「そうはならんやろ」という展開が連続。最後はなぜかみんなでミュージカルをしてとりあえず解決するのですが、そこの絵のヌルヌル具合にも驚き。このアニメ自体が「も~びっくり!」という具合です。

ちなみに2023年冬から毎クール『テクノロイド オーバーマインド』『Opus.COLORs』『AYAKA ‐あやか‐』『川越ボーイズ・シング』と妙に滋味深い女性向け(と思われる)オリジナルアニメが続いていますが、『月刊モー想科学』もそれらに名を連ねる可能性を十分に感じられる1話でした。今話が初見でも楽しめるはずなのでぜひ。

(文=はるのおと)

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