平櫛田中の鏡獅子 東京から井原へ 2月7日、美術館でお披露目

搬送するためクッション材で保護される「鏡獅子」=東京・国立劇場

 井原市出身の日本近代彫刻の巨匠、平櫛田中(1872~1979年)の代表作で国立劇場(東京・千代田区)に常設展示してある「鏡獅子」が30日、井原市立平櫛田中美術館(同市井原町)での公開に向けて同劇場から搬出された。一般へのお披露目は2月7日。

 鏡獅子は高さ2メートルを超える大型の木彫作品で、22年もかけて1958年に完成させた。伝統芸能の殿堂・国立劇場のロビーに飾られ、シンボルとして親しまれてきた。劇場の建て替え工事に伴い、所蔵する東京国立近代美術館から借り受けることが決まっていた。

 専門業者の十数人が搬出作業に当たった。重さ数百キロという鏡獅子を慎重に展示ケースから出して細部を保護するなど1日がかりで梱包(こんぽう)し、搬送した。

 平櫛田中美術館では5年半にわたり展示される予定。2003年に同美術館で披露されて以降は、劇場ロビーを一度も出たことがないという。国立劇場総務企画部副部長の〓刀(くのぎ)崇好さんは「表情、姿形をいろいろな角度から見てほしい。今にも動き出しそうな迫力を感じてもらえるはず」と話した。(〓は功の右が「刀」)

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