名張弁護団、最高裁決定を批判 新たな請求へ「準備進めたい」

名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求を退けた最高裁決定を受け、記者会見する鈴木泉弁護団長(中央)ら=30日午後、名古屋市

 名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求を退けた最高裁決定に対し、鈴木泉弁護団長は30日、名古屋市内で記者会見を開き「科学的知見に基づく検討をしないで導いた結論と言わざるを得ない」と批判し「弁護団としては新たな再審請求に向けて準備を進めたいと考えている」と述べた。奥西勝元死刑囚の妹で申立人の岡美代子さん(94)も前向きな意向を示しているという。

 鈴木弁護団長は弁護側の新証拠に関する専門家の証人尋問を行わなかった名古屋高裁決定を疑問視する判断を最高裁に期待していたと強調。特別抗告棄却の結論を導いた裁判官4人の多数意見には「一片の説得力もない」と指摘した。佐々木啓太事務局長も「結論ありきで否定的な見方しかしておらず、評価に値しない」と憤った。

 10次に及んだ再審請求で初めて最高裁で「再審を開始すべきだ」との反対意見が出た点には評価も。市川哲宏弁護士は「(確定判決が)疑わしいと感じた裁判官が1人いた。罪のない人を救済する再審制度の精神を考えれば、再審開始になるべきだった」と悔やんだ。

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