成人式振り袖、無傷で残る 珠洲・宝立 全壊の美容室

全壊した美容室から取り出された着物を手に取る岸田さん=30日午後4時、珠洲市宝立町鵜飼

  ●預かりの2着

 大きな揺れと津波に襲われた珠洲市宝立町鵜飼で30日、全壊した北沢美容室から成人式用の振り袖2着が見つかった。いずれも客から預かっていた着物でほとんど傷みはなく、同美容室の岸田孝子さん(52)は「こんなにきれいな状態で見つかると思わなかった。早くお客さんに返したい」と笑顔を見せた。

 北沢美容室は自宅を兼ねた木造2階建て、創業50年以上。岸田さんは成人式用の着付けをしており、12月以降に振り袖9着を預かっていた。岸田さんは「振り袖だけでも取り出してあげたい」とボランティアに捜索を依頼。東京や長野のボランティアグループの3人ががれきの中から赤や白の色鮮やかな振り袖を探し出した。

 ボランティアの春原圭太さん(35)は「残り7着も取り出したい」と話した。

  ●散髪サービス始める

 岸田さんはこの日、美容室3軒隣の「宝湯別館」で散髪のサービスを始めた。宝湯を経営する橋元宗太郎さん(40)が場所を快く貸してくれた。2人の娘と訪れた珠洲市上戸町北方の公務員正司絵理さん(28)は「前髪が伸びていたので、すごいさっぱりした」と話した。

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