『Eye Love You』思わず頬が緩むテオのド直球な愛情表現 クールな花岡の人間味ある一面も

「だから早く、僕を好きになって」

そんなテオ(チェ・ジョンヒョプ)のド直球な愛情表現に思わず頬が緩む。思っていることは、言葉にしなければ伝わらない。とはいえ、ストレートなコミュニケーションには相手から拒否されてしまうかもしれないというリスクもつきまとう。だからこそ、自分が傷つくことを恐れることなく言葉にして気持ちをぶつけてくれる姿勢そのものに、愛を感じるのかもしれない。

火曜ドラマ『Eye Love You』(TBS系)第2話は、侑里(二階堂ふみ)が経営する会社「Dolce & Chocolat.」にテオがインターン生としてやってくるところから始まった。相手の瞳を見つめると心の声が聞こえてしまう“テレパス”能力を持つ侑里。デリバリーの配達員として知り合い、心の声が韓国語であることから何を考えているのかわからないテオの存在に癒やされていた矢先のことだった。まさかの自分の部下になるなんて、と動揺を隠しきれない侑里。しかも職場には公私混同を嫌うビジネスパートナーの花岡(中川大志)がいる。オフィスでこれまでのようなやり取りを知られてはテオが採用取り消しに……いや、侑里の社長解任だってありえるぞと戦々恐々とするばかり。

一方で、テオは毎日侑里に会えるとニッコニコ。片時も離れまいとくっついてくる姿は、まるでブンブンと振る尻尾が見えるようだ。お昼ご飯を食べたという侑里に「デザートを食べに行きましょう」と連れ出したり、「アイスクリーム買いに行きませんか?」(この台詞は韓国人男性の「2人きりになりたい」アプローチですという解説つき!)と誘ったりと勢いが止まらない。まるで大型犬のようになつくテオに、侑里は「待て」と静止を続ける。そんな侑里の態度に最初こそ拗ねたような表情を浮かべていたテオだが、侑里の心境を推し測り「僕のことを考えてくれていたんですね」と納得するのだった。

“好き”という気持ちを全面に出してくれる素直さだけでなく、相手の考えを理解しようと努め、さらには「カッコいいです」「誇らしいです」とリスペクトしてくれる。これまで出会ったことのないタイプのテオに、侑里の心を動かされないわけがない。これからは会社では社長と社員として接する代わりに、勤務時間外では2人きりの時間を作ってほしいと願うテオに、侑里がどのような態度に出るのか楽しみだ。

そんな進展を見せる2人に対して、花岡のギャップが描かれたのも大きな見どころだった。大学時代に出会ったときから、侑里に対しても塩対応だった花岡。しかし、第2話では極度の下戸で顔にかかった酒の飛沫だけで酔っ払ってしまうほどであることが判明。ポワポワとした表情で太鼓を叩いてみせたり、コートもバッグも忘れて帰っていく無防備な姿は、テオとはまた違ったタイプのかわいらしさだ。

さらに、ソファで眠る花岡の手元には侑里の昔の写真が。酔っ払った眼差しで寝落ちする直前まで眺めていたのだろうか。となれば、もしかしたら侑里に対して特別な感情を持っているという可能性も……。そうだとしたら、なんと健気なことか。侑里が空腹時にすぐさま口に運べるものを用意し、侑里が思わず口にした使いにくいゴミ箱のこともテキパキと新しいものを手配してきた。心の声が聞こえる侑里が気を遣わないのも、花岡が徹底して仕事に打ち込んできた証拠だろう。

侑里のことを誰よりも理解し、そしてサポートしてきた花岡が、「公私混同をする人間はうちの会社には必要ない」と厳しい態度をとってきたのも、ひょっとしたら侑里の夢である「ビジネスでの環境問題の解決」を叶えるために、自らを律するためだったのかもしれない。あるいは「本宮も気をつけてね」と、侑里にそうした関係の人ができないようにと釘を刺したかったつもりが、自らの首を締めているということも……? いずれにせよ、完璧に仕事をこなすクールな花岡の人間味あふれる一面と言えそうだ。

ストレートな言葉で愛情を表現してくる大型犬系男子のテオvs何も言わずにそばにいるツンデレ系男子の花岡。そんなラブコメの王道を行くような三角関係が今後の見ものになってきそうだ。今のところ圧倒的にテオが優勢に見えるが、これから花岡がどんな顔を見せてくるかはわからない。なにせ仕事上においては花岡以上に頼もしい存在はいないし、有利と花岡の間には共に過ごした時間という、テオにとっては大きなハンデもある。会社の立ち上げ時期から、2人で乗り越えてきたものが大きければ大きいほど絆も深いはずだ。

また、“過去”といえば、侑里の父・誠(立川志らく)のもとへ、テオの父親代わりでもある飯山教授(杉本哲太)がお見舞いにやって来ていたことも気になるところ。どうやら侑里がテレパスの能力を持つきっかけとなったあの事故現場にも居合わせていたようだし、施設のスタッフの言い方だと何度も足を運んできていることがうかがえる。侑里とテオが知らぬところで“父”同志が繋がっているというのは、果たして運命か、それとも必然か。

そう、誰しもが「ここにいる理由」がある。それぞれが背景と目的を持ちながら、歩み続け、新たな出会いを果たす。それが自身の目的にグッと近づく出会いにもなることもあれば、それまで考えもつかなかった別の未来を見据えるものになったりもする。きっと、そうして彩りのある人生が紡がれていくのだろう。侑里とテオの出会いから、周囲の人間関係にも大きな変化が訪れそうだ。少しずつ紐解かれていく過去にも注目しつつ、今は侑里に対するテオの猛アプローチにしばし酔いしれたい。

(文=佐藤結衣)

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