リリー・フランキー主演映画『コットンテール』本予告公開 錦戸亮、高梨臨らコメントも

3月1日に公開されるリリー・フランキー主演映画『コットンテール』の本予告とポスタービジュアル、場面写真が公開された。

本作は、英国アカデミー賞US学生映画賞受賞監督であるパトリック・ディキンソンが手がけた日英合作映画。誰もがその生涯で経験する大切な人を失うことの悲しみを受け入れるまでの様々な思いを、妻・明子の遺言に残された地、イギリス北部の湖水地方にあるウィンダミア湖への旅の中で描く。

兼三郎(リリー・フランキー)は、妻・明子(木村多江)を失うまで、一人息子のトシ(錦戸亮)と疎遠になっていた。明子の葬式で久しぶりに、トシと妻・さつき(高梨臨)、孫のエミに会う。喪主の兼三郎は酒に酔い、だらしない態度。明子の遺言状には、子供の頃に愛した『ピーターラビット』の発祥地で、夫婦で行きたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨してほしいという言葉があった。兼三郎と慧一家は、明子の最後の願いを叶えるため、東京からイギリスに向かう。しかし、心を開きあえないふたりは言い争いとなり、 兼三郎は何も言わずに一人で湖に向かってしまう。道に迷い途方に暮れる中、ある農場のジョン(キアラン・ハインズ)と娘メアリー(イーファ・ハインズ)の世話になり、次第に心が安らいでいった兼三郎は、迎えに来たトシにずっと言えなかった秘密を打ち明ける。

リリー・フランキーが主演を務め、錦戸亮、木村多江、高梨臨らが出演。そのほか、『ベルファスト』のキアラン・ハインズ、『ノーマル・ピープル』のイーファ・ハインズらが共演に名を連ねた。

公開されたポスタービジュアルには、自転車に乗る兼三郎の姿が切り取られている。

明子の葬儀のシーンから始まる予告編では、イギリスに到着した兼三郎が愛おしそうに明子の遺骨に語りかける姿や、慧やさつきとすれ違っていく様子、そして家族のことも自分のことも分からなくなっていくことに強い恐れを抱く明子など、現在のイギリスと過去の東京を行き来しながら、兼三郎の妻への深い愛と後悔が映し出される。今際の際の明子を思い出しながら「約束したんだけどなあ……母さんを守ってあげられなかった」と涙を流す兼三郎の、妻との秘密の約束とは一体何なのか。

また、本作が初の長編デビューとなるディキンソン監督についてのキャストコメントも公開。監督自身の体験を元にした脚本を読んで出演を決めたという主演のリリー・フランキーは、「過去に同じテーマの短編を撮っていたり、日本を舞台にした介護の問題を10年近く考えていたなど、“家族の介護”は監督にとってライフワークなのだと思います。だからこそ僕たちがどう監督に協力していくことができるかを考えていました」と語る。

そして、最後の重要なシーンについて「ネタバレになってしまうのであまりお話しできないのですが、監督からは明確な演技の指示がなかったんです。『考えないでください』と。撮影の時に『本当にこれで良いのかな』と不安もありましたが、緊張感を持って欲しかったのだと思いますし、兼三郎の行動や気持ちを明確にしてしまうと、このドラマの本質が変わってしまうという意識がありました。『無』でいて欲しいと言う監督の正解に即して演じることが正解で、分からない方がいいのだと思った」と、監督への信頼を明かした。

トシ役を演じた錦戸は「僕自身、海外の映画監督と撮影に臨むのは初めての経験でしたが、日本語が堪能な監督で、コミュニケーションもとっていただき、優しい空間での撮影でした。イギリスでの撮影期間中、毎朝お米を炊いて、自分のお昼用におにぎりを作っていたのですが、そのおにぎりも美味しいと言って食べてくれました。日本、英国双方共に、その場所でしか見られないとても綺麗な映像で繋がれた映画です。撮影期間はコロナ禍真っ最中でしたが、少しずつ近づく心の距離や、静かに温かく進んでいく物語を是非劇場でご覧ください!」とコメント。

若年性アルツハイマーに冒される明子役の木村は「難しい役でしたが、才能溢れるパトリック監督との時間は、繊細なリハーサルを重ねた、俳優に寄り添ったもので、このように仕事ができたことは本当に幸せなことでした。そして、映画にも間違いなく、その繊細さが紡ぎ出され、悲しくも優しい普遍的な愛が流れています。監督の人を見る優しいまなざしが、観るものの心に沁みる何かを、そっと残してくれる、そんな映画です」と語る。

さつき役の高梨は「映画『コットンテール』がついに公開される事をとても嬉しく思っております。日英合作作品ということで、撮影でイギリスのロンドン、そして湖水地方にも行かせていただきました。夏のイギリスは、空気も景色も本当に素敵で、そこにイギリス人のパトリック監督が見る、日本の世界観も重なって、また新しい日本の景色も見ることができました。監督は役者に寄り添ってくれて、とても心の優しい監督でした。その温かさがこの映画の温かさを作り出してくれているのではないかと感じました。見てくださる方々の心にも届いてくれたら嬉しいです」と、それぞれ監督とのエピソードと作品の魅力を語った。

(文=リアルサウンド編集部)

© 株式会社blueprint