地主FAが個人投資家向け商品を初展開―「地主倶楽部」、1号案件で募集開始

(提供:不動産経済ファンドレビュー)地主㈱の子会社である地主フィナンシャルアドバイザーズが1口10万円から投資ができる個人投資家向け不動産金融商品「地主倶楽部」の募集を開始した。底地開発のパイオニアである地主は、建物を所有せず土地のみに投資するJINUSHIビジネスにより、自然災害やマーケットボラティリティに強い長期安定の不動産金融商品を開発している。同社は、「不動産投資のプロではない個人投資家の方々に、長期安定のキャッシュ・フローを得られるJINUSHIビジネスを提供したい」と強い思いを述べた。第4号案件まで準備ができており、2号は2024年中に募集を開始する予定。
募集を開始した初弾は、募集金額1億9000万円で期中想定利回りは3.0%。横浜市に所在する約290坪の底地。立地する建物は倉庫・事務所で、テナントとして専門商社が入居している。運用期間は10年を超え、2023年12月1日~2037年6月30日を想定。テナントと長期の定期借地契約を結んでいるため、期中のテナント退去リスクはほぼない。土地のみに投資するため追加投資も必要なく、水光熱費や修繕費等のコスト増加とも無縁。
なお、3.0%には売却時配当を含まない。将来底地を売却してキャピタルゲインを実現した場合は別途配当を行う立て付けだ。一般的に不動産小口化商品はキャピタルゲインを織り込んだものが多く、短期の運用期間を設定して利回りを実現する。だが、不動産について知見が浅い個人投資家が、短期でキャピタルゲインを織り込んだ商品に投資することは難しい。これに対し地主倶楽部は長期安定のキャッシュ・フローを提供することが特徴だ。また、募集する優先出資と同社が入る劣後出資のみで構成され、借入がないため、金利の影響もない。万が一の場合は第一に同社が一定のリスクを取る構造となっている。
創業来20年超の開発実績は、318案件・約4342億円に上り、同社は底地マーケットの創出・拡大に注力してきた。これまで保有物件において、テナントが退去した事例はない。2017年に運用開始した底地特化型私募リート「地主プライベートリート投資法人」は、安定性が高い評価を受け、運用開始以降7年連続の増資を実行。資産規模は1800億円に到達している。同社は、地主リートを通じて機関投資家に幅広く支持されてきた長期安定の不動産金融商品を、個人向けにも展開を拡大する考えだ。

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