もはや持ち歩く秘密基地!? RTX4090搭載の最強ゲーミングノートPC『ROG STRIX SCAR 18』に全てを任せたい

もはや持ち歩く秘密基地!? RTX4090搭載の『ROG STRIX SCAR 18』は最強ゲーミングノートPCだった

ASUSのゲーミングブランドROG(Republic of Gamers)が、2024年モデルの新製品を発表した。今回はそのうちのひとつ『ROG Strix SCAR 18G834G834JYR-I94R4090)』が面白いゲーミングノートPCだったのでレビューしてみた。ROGからは多数のゲーミング製品がリリースされている。2-in-1のようなフレキシブルさが持ち味のFlowシリーズ、スマートさとスペックを両立させたZephyrusシリーズ、最強スペックを追求したStrixシリーズの3ラインが主な製品となるが、今回紹介する『ROG Strix SCAR 18』は、最強を追い求めるStrixシリーズの最新モデルにあたる。

そのスペックたるや、凄まじいの一言。最大クロック数5.8GHzを実現する第14世代Core i9-14900HXをはじめ、GPUも最新モデルのRTX4080とRTX4090から選べる。今回はより高性能なRTX4090をレビューしているが、もはやスポーツカーを触っているような感覚だった。

■息を呑む圧巻の大画面!

早速『ROG Strix SCAR 18』をパッケージから見てみる。メカメカしいパッケージデザインも、ワクワク感を高めてくれる。クイックスタートガイドのほかには、PC本体、330Wを供給する大型のアダプター、一部外装の交換パーツ「Armorキャップ」が付属している。製品名に18とあるように『ROG Strix SCAR 18』は18インチの大型ディスプレイを特徴としている。ゲーミングノートにおいて18インチは現状の最大サイズであり、これを超える大画面ノートPCは一般的には手に入らないと思ってもらって良い。筆者は普段14インチのノートPCを使っているが、それと比べると大人と子どものようなサイズ差を感じてしまう……。

意外にもベゼルは狭く、体感としては17.3型のノートPCと変わらない。重量は3.1kgもあるのだが、持ち上げてみると「サイズのわりには軽いかも?」と感じたほど。大型ノートPCの利点のひとつが、余裕のあるキーボードサイズだ。キー感覚も広めで(約19mmほど)、文字入力もスマートにこなせた。浮かび上がるバックライトも美しい。天板にはROGのロゴと斜めのラインがあしらわれている。2023年モデルと同様、指紋が付きづらいAnti-Fingerprint加工がなされている。写真上は右側面で、USB Type-A端子を2口搭載。写真下の左側面はUSB Type-C(Thunderbolt 4とUSB 3.1)を2口、ヘッドホン端子、HDMI、LAN端子、電源端子を搭載。大きな排気口も印象的だ。底面にも大胆な給気口が確認できる。また底面はゴム足で数ミリほど浮いているため、より効率的に空気を取り込める構造になっている。

もちろん背面にも全体に渡って排気口が備わっている。車のエンジンも同様だが、高い性能を発揮するためには効率的な冷却が欠かせない。特に近年のゲーミングノートは冷却合戦の様相も呈しているが、ASUSの冷却にかける情熱は並々ならぬものがある。たとえば、本モデルでは銅製フィンを通気孔付近に移動させたり、少しでもヒートシンクの面積を稼ごうと工夫されている。多くの高性能ノートPCが2台のファンを搭載するところ、本モデルは3台ものファンを搭載しているなど、全力で冷やしにかかっているのがわかる。また、背面部分の一部は「Armorキャップ」で外装の交換ができる。このパーツはマグネットでバチっと固定される仕組みで、お好みで付け替えると良いだろう。

■ゲーミングノートとしては文句なしの最高峰

外観を見てきたところで、次はPCの性能をはかるベンチマークソフトを試してみた。まずは現代の多くのPCゲームの性能指標となる「3DMark Time Spy benchmark」をテストする。なお『ROG Strix SCAR 18』は、「サイレント」「パフォーマンス」「Turbo」の3つの動作モードを選ぶことができる。今回は標準的な「パフォーマンス」の状態でテストを行った。総合スコアは19,088と出た。一般に15,000~19,999の値であれば「非常に快適」で、快適度としては頭打ちとなる。ベンチマーク中の画面を見ても一度も引っかかることはなく、終始滑らかな映像が表示されていた。次は「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」をテストした。グラフィック設定は「高品質」にしてある。

こちらはスコアが11,999を超えれば上限の「とても快適」となるが、上限を大きく超えるスコアを叩き出した。本機のディスプレイ解像度は2,560×1,600ドット(WQXGA)のため4K画質には届かないが、あえて4K画質のフルスクリーンでベンチマークをしてみると、スコアは5,440とまずまずの結果となった。外部出力もWQXGA程度を目安にすると良いだろう。最後は重量級のPCゲーム『サイバーパンク2077』のベンチマークをテストした。今回はPC側の設定を「サイレント」「パフォーマンス」「Turbo」と変更してみて、それぞれでどう結果が異なるかをチェックしてみた。もっとも低電力な「サイレント」の結果がこちら。画質設定はもっとも高負荷な「レイトレーシング:オーバードライブ」に設定してあるが、平均FPSは約80と快適さを感じられる値だ。

次は「パフォーマンス」でテストしてみたが、サイレントからわずかに下がった値が出た。とはいえ最大FPSはこちらが上回っており、誤差と呼べる範囲だろう。最後は消費電力もファンの音も爆音な「Turbo」でテスト。平均FPS、最大FPS、フレーム数のいずれも最大値を叩き出しているのがわかる。さすがの全速力モードといったところだ。モードが異なればゲームの快適さも変わってくるが、ほとんどの場合は「パフォーマンス」でもストレスなくプレイを楽しむことができるだろう。ちなみにそれぞれのモードごとにファンの騒音にも差があり、騒音計で計測したところ「サイレント」で平均約40db、「パフォーマンス」で平均約45db、「Turbo」で平均約49dbとなった(計測位置はPCに対して筆者の耳の位置で測定)。

■「最強」を持ち歩ける満足感

正直、18インチのノートPCは持ち歩きには向いていないサイズ感であり、自宅でしか使わないと割り切っている人も多いだろう。だがそれは裏を返せば「持っていこうと思えば持っていける」という、可能性でもある。やろうと思えば、やれるのだ。今回はあえて本機をカフェなどで試用してみた。結論から言うと、今までにない快適さを感じた。もはや作業環境をまるごと持ち歩いているような感覚で、動画編集のような広い作業スペースを要求する作業もストレスなくこなせる。大画面と高性能さを併せ持つ、本機だからこその体験だろう。無論、本体の重量も軽いとは言えないし、そもそも18インチのノートPCが入るカバンだって限られる。デメリットは少なくないが、カバーできないこともないラインだ。丸一日持ち歩くのはさすがに大変だが、ちょっと気分転換に外で作業するくらいであれば、18インチを持ち出すのも非現実なことではないかも?

せっかくの高性能なマシンを自宅でしか使わないのはもったいない。最近、話題となるスポーツカーで近所のコンビニや銭湯に立ち寄るような得も言われぬ贅沢さを味わえるのが、デスクトップにはない利点だろう。そう考えると、自宅でも屋外でも最強性能を発揮できるPCは、なんともロマンに満ちた存在ではないか。

■僕らのゲーミングライフに、最強の性能を

ASUSがおくる、現段階の最高峰ともいえるゲーミングノートPC「ROG Strix SCAR 18」。数少ない18インチノートの選択肢がしっかりアップデートしてくれただけでも嬉しいものがあり、大画面ノートのファンにとっては新たな物欲のタネになるだろう。価格も税込み約60万円と超ド級だが、満足感は保証できる。あと、これは個人的な話だが、ディスプレイが広いおかげか本機での作業中は視線が高くなり、普段よりも良い姿勢で作業ができていた自覚があった。大画面のノートPCは姿勢矯正にも役立つ可能性がある…!? 何にしても可能性の塊が本機なのだ。

文・写真=ヤマダユウス型

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