農研機構発ベンチャー 植物検疫需要増に対応 茨城・つくば

農研植物病院が提供する検査イメージ(農研機構提供)

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)は30日、同機構所属の研究者がベンチャー企業「農研植物病院」(同市)を設立したと発表した。需要が高まりつつある植物の検疫検査で専門知識を生かしたサービスを提供し、農産物の輸出拡大に貢献したい考え。2024年度の業務開始を目指す。

農産物や食品の輸出は近年増加傾向にあり、政府は輸出額を25年に2兆円、30年には5兆円とする目標を掲げている。しかし、日本から輸出する農産物に病害虫が付着して他の国や地域に侵入することを防ぐため、輸出先の国・地域の要求に応じた輸出検査の需要が増大していた。

このため、昨年4月に改正植物防疫法が施行され、輸出植物など検査の一部については、国の植物防疫官に代わり登録機関で実施できるようになった。

同社の事業内容は、輸出企業や種苗会社、登録機関向けの検査サービス提供や病害虫コンサルなど。植物病理学の専門家による高い研究開発力と技術力を生かし、DNAを複製・増幅させるPCR法による検査などを行う予定。

設立は今月9日。同機構内に事務所を構える。資本金は600万円。同機構が500万円出資した。

同社設立に当たり、CEOを務める同機構顧問の上山健治さん(62)は「日本の農業を強くしたい。世界に日本のおいしい農産物を届け、食と農の豊かさを享受できる社会実現を目指したい」などのコメントを発表した。

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