2030年にも相馬地区にアンモニア拠点 輸入、貯蔵、供給担う 脱炭素推進に期待 石油資源開発など5社

 福島県新地町駒ケ嶺に相馬事業所がある石油資源開発(本社・東京)など5社は2030年にも、相馬地区にアンモニアの供給拠点を設ける。基地を建設し、輸入から貯蔵、供給までを担う計画だ。5社は30日、拠点構築に向けた共同検討を開始したと発表した。アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料として注目され、今後の需要増が見込まれている。拠点の整備により、脱炭素化の推進や相馬地区の経済発展が期待される。

 事業に取り組むのは石油資源開発と三菱ガス化学、IHI、三井物産、商船三井(いずれも本社・東京)。主に石油資源開発が基地の建設、運営などを担い、他の4社がアンモニアの調達や輸送などに携わる。アンモニアを世界各国から輸入し、東北地方の太平洋側への供給を計画している。

 石油資源開発の相馬事業所は相馬港で液化天然ガス(LNG)基地を操業しており、既に燃料の輸入や供給のノウハウを蓄積している。LNG基地の近くにアンモニア供給拠点を建設できる土地の確保も見込めることから、相馬地区を選定した。

 同社によると、アンモニアや水素を化石燃料と置き換えたり、混ぜたりして発電する技術の研究が国内を中心に進んでいる。今後、アンモニアの需要が増えると見込み、5社が拠点の整備を決めた。発電事業者の他、化石燃料を製造エネルギーに使っている製鉄、製紙、化学の分野の事業者に売り込む。海路、陸路、パイプラインでの供給を視野に入れている。

 今後、5社が需要や調達先の調査を本格化させ、建設する基地の規模などを決める。石油資源開発は「社会の脱炭素化に貢献するとともに、相馬地区の雇用創出や、アンモニアを活用する企業の参入にもつなげたい」としている。

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