長崎被災協・世界発信を目指すプロジェクト 被爆証言動画の第1弾が完成、学生らがSNSで発信協力

世界に向けた被爆証言などの発信に取り組む横山さん(右から2人目)と学生たち=長崎市役所

 2025年の被爆80年に向け長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)が被爆証言などの世界発信を目指すプロジェクトで、英語字幕付き動画の第1弾が完成し、ユーチューブ版と交流サイト(SNS)版が30日に公開された。SNS版は若い世代向けの短い動画で、学生団体が編集や投稿などで協力。来年夏までに80人分の発信を目指しており、長い道のりが始まった。
 第1弾で登場するのは長崎市の被爆者、松谷英子さん(81)。昨年12月に撮影した約1時間半の素材を、ユーチューブ版は約2分40秒、SNS版はさらに短い1分弱に編集した。いずれも被爆時の状況や、戦後の苦しみ、核兵器廃絶への思いなどを盛り込んだ。
 SNS版は数十秒程度の「ショート動画」に親しむ若い世代をターゲットに、被爆の実相に触れるハードルを下げる狙い。県内の大学生らでつくる学生団体「MICHISHIRUBE」の5人が協力。インスタグラムの「19450809_80years」、TikTok(ティックトック)の「80yearproject2023」などのアカウントで投稿する。
 被災協は30日、長崎市役所で会見した。プロジェクト責任者の横山照子副会長(82)は「若い人には若い人の感覚でないと伝わらないので心強い」と期待。MICHISHIRUBE共同代表で鎮西学院大2年の大澤新之介さん(20)は「私の次の世代も長崎の平和を感じ、行動するきっかけにしたい」、同大2年の上田直樹さん(19)は「被爆者の人間的な部分を知ることができる動画を作りたい」と語った。

松谷さんの被爆証言や核兵器廃絶への思いを1分弱の動画にまとめ、日本語と英語の字幕を付けてインスタグラムなどで配信している(MICHISHIRUBE作成)

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