政治部記者が語る解散の兆候!どのように衆議院解散を予測している?選挙ドットコムちゃんねるまとめ

YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。

2024年1月30日に公開された動画のテーマは……衆議院解散はなぜ予測できるのか!

ゲストに朝日新聞政治部記者の今野忍氏をお招きし、政治部記者が感じ取る解散の兆候について語っていただきました。

解散風はどうやって吹く?政治部記者は解散の空気をどう読み取る?

【このトピックのポイント】
・解散の兆候は人・物・金の動きに表れる。それを読み取れるかが記者の腕の見せ所
・解散の規定は憲法69条と7条にあるが、ほとんどの解散は7条を根拠に行われている
・次の解散は総裁選の前、国会会期末の6月か。減税もその布石

衆議院の解散は予測できる?

2023年6月には解散風が吹いているといった報道がよく見られましたが、メディアはどのように衆議院解散を予測しているのでしょうか。

MC伊藤由佳莉の問いに対し、「結論から言うと予測はできない」と今野氏。2023年6月の解散風は、岸田総理が解散の可能性を否定しなかったことから吹いたものに過ぎない、とコメントしました。

また、衆議院の解散は国会会期中にしかできません。当時は通常国会の終盤で、防衛費増額に向けた財源確保法が可決されるかどうかの瀬戸際でした。その与野党の攻防の中で岸田総理が解散をほのめかして野党をけん制したことも、解散風につながったとのことです。

総理の言動以外に人や物、金の動きで解散を予測できることもあります。

その1つが公明党の支持母体である創価学会です。2017年の解散では、創価学会が急遽全国の幹部を集めるということがあり、「安倍さんが公明党に(解散することを)伝えたんでしょう」と今野氏。メディアもその動きをキャッチした、ということがありました。

もう1つは自民党の金庫番の動きです。これは議員ではない自民党の事務方のトップで、党の資金を管理していることから、費用のかかる選挙準備のためにメディアよりも先に解散を知る立場にあります。

実際、民主党政権時に民主党の事務方トップは、幹事長よりも早く当時の野田総理から解散を知らされ、秘密裏に準備を進めていたとのことです。

金庫番の動きをキャッチアップできれば、確実性の高い解散予測が立てられると言えるでしょう。

今野氏「(金庫番の動きには)何らかの兆候は出るはずなんです。その兆候をつかめるかどうかが記者の腕の見せ所ですね」

そもそも解散ってどう行われるの?

衆議院の解散に関する規定は2つあります。

1つが憲法69条で、「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」とあります。

ただ、与党が議席の過半数を持っている状況で不信任案が可決されることはほとんどなく、憲法69条による解散はこれまで4回しか行われていません。

もう1つの規定が憲法7条で「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。」とあり、天皇の国事行為の1つとして衆議院の解散が定められています。

この条文が「解散は総理の専権事項」と言われるゆえんですが、その解釈は飛躍しているのではないかという学説もあります。

いずれにしても、1952年の抜き打ち解散以降、7条による衆議院解散が定着しているのが現状です。

過去の解散 ユニークな名称のものも

過去の衆議院解散では、一風変わった名称がつけられているものもあります。

1953年の「バカヤロー解散」は、当時の吉田茂総理が大声で叫んだような印象を受けますが、実際には小さい声でささやいたものをマイクが拾ったものであったとのことです。

近年の印象的な解散として、今野氏とMC伊藤は2005年の「郵政解散」に言及。当時の小泉純一郎総理は郵政民営化法案が参議院で否決されたことをきっかけに衆議院を解散し、造反した議員に対抗馬をぶつけました。

この時の衆院選は自民党の圧勝に終わりましたが、今野氏によると、小泉氏は「よく俺はあんな無茶なことやった」と振り返っていたそうです。

1986年の「死んだふり解散」では、当時の中曽根総理が解散を否定する発言を重ねた上で解散に踏み切りました。この解散は6月に行われましたが、後のインタビューで中曽根氏は正月から検討していた旨を述べています。

次の解散総選挙はいつ?

次の解散総選挙について、今野氏は6月の可能性に言及します。

その理由として挙げたのが9月の自民党総裁選です。支持率の低い今の状況で総裁選に突入すれば岸田総理の再選は難しくなります。

そのため、総裁の任期を勝ち取るために国会会期末を狙って解散し、総選挙で国民の信を得て総裁選に臨むのではないか、と今野氏は予想しました。

MC伊藤「次の総選挙はどういう名前がつくでしょうか」

今野氏「政治資金……裏金解散?」

派閥解消、6月の減税も解散を見据えてのものではないかと今野氏。「今明らかに(解散を)考えてますよ」と締めくくりました。

動画本編はこちら!

政治部記者はどうやって解散を予測している?次の解散はいつ?

選挙ドットコムちゃんねるは毎週火曜日から日曜日に公開!

ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!

© 選挙ドットコム株式会社