住吉中園商店街にかつてのにぎわいを 30~40代の経営者ら奮闘 

朝から若者でにぎわうカフェ「Laf」=長崎市住吉町

 長崎県長崎市の長崎駅周辺で大規模な再開発が進む一方、市内に点在する昔ながらの商店街では、利用客の減少や空き店舗の増加など空洞化が懸念されている。そんな中、市北部の長崎住吉中園商店街では、30~40代の若手経営者らが独自の発想で活気を取り戻そうと奮闘している。
 1月下旬の午前10時。若者でにぎわうカフェ「Laf(ラフ)」(住吉町)。長崎青年会議所の会員とOBらでつくる商店街活性化グループ「JMOP(ジモップ)」の広報を務める長野雄太さん(36)が昨年11月にオープンした。
 若者受けを狙い、白と青を基調にしたシンプルな内装。フリーWi-Fiやコンセントも完備した。平日はパソコン作業や勉強をする大学生、週末は家族連れが多く「高齢化が進む場所に若者を呼び込めている」と手応えを語る。
 JMOPは、市内の商店街を盛り上げようと昨年3月に発足した。「昔は人通りも多くて、にぎやかな商店街だった」と話すのは代表の中村伸一郎さん(40)。西彼長与町出身。幼いころ家族で長崎住吉中園商店街を訪れていたという。メンバー9人のほとんどが市北部出身ともあって、まずは同商店街を選定した。
 長崎商工会議所によると、昨年の同商店街の通行量は1979年と比べて4分の1になった。周辺に大型商業施設が登場したほか、生鮮食品が安く手に入るディスカウントストアも開業。そのあおりで同商店街振興組合の加盟数もここ5年で約2割減った。
 この状況を踏まえてJMOPは▽昨年時点で34店舗ある空き店舗をゼロにする▽商店街の利用客を2025年までに1日平均100人にして月間約4千万円の経済効果につなげる-という目標を設定した。
 昨年8月には「住吉マルシェ」を開催。ファミリー層の集客を図ろうと子どもをターゲットに据え、商品販売を体験させたり、地元美容師から屋外で無料散髪してもらえるようにしたり。午前7時開始にもかかわらず約300人が集まった。組合非加盟の店舗も参加して横のつながりもできたという。
 「外から盛り上げて新しい風を吹き込みたい」と話す長野さんだが、初めは地域に受け入れてもらえるか不安だったと明かす。それが今では活動が徐々に広まり、店主たちの期待を集める。精肉店を約50年間営む渡部廣信さん(79)は「頑張って活気づけてくれている。これで若い人が増えれば」と歓迎。住吉まちづくり実行委として毎月、同商店街でワゴンセールを開いている「たこやき道場」店主の峯幸里さん(52)は「自分たちももっと力を入れなければ」と刺激を受けている。
 同商店街内のテナントは昨年末に2件増え、今年もeスポーツ店が開業を控える。JMOPは大学生や高校生が集う会員制フリースペースも構想している。代表の中村さんは「まずは商店街に来る理由をつくり、点ではなく線でつないで街全体ににぎわいをもたらしたい」と未来を見据える。

美容師が子どもを無料で散髪した「住吉マルシェ」=長崎市住吉町(JMOP提供)

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