松本人志 性加害報道でNHKは“脱吉本”の動き…今田、ジュニアら“弟分”はテレビ界で大幅不利に

「ダウンタウンの冠番組は新たなスポンサー探しが厳しい状態です。9月までは松本さん、およびダウンタウンの番組を続ける予定ですが、このままでは10月から別番組に変更する必要が生じると考えられています」(制作関係者)

昨年末から『週刊文春』により性的行為などを強要した疑惑が報じられ、裁判に注力するため活動を休止中の松本人志(60)。1月22日、松本は個人で『週刊文春』の発行元・文藝春秋と同誌編集長を相手取り、名誉毀損に基づく損害賠償、記事の訂正を求めて東京地裁に提訴した。請求額は約5億5千万円だった。

松本の代理人弁護士は「記事に掲載されているような性的行為やそれらを強要した事実はなく、およそ“性加害”に該当するような事実はないということを明確に主張し立証してまいりたいと考えております」とコメント。『週刊文春』編集部も「一連の記事には十分に自信を持っています。提訴によって萎縮することなく、今後も報じるべき事柄があれば、これまでどおり報じてまいります」と全面的に争う姿勢を示した。

その翌々日の24日、当初「当該事実は一切ない」とのコメントを発表していた吉本興業は、改めて報道についての見解と対応方針をHP上で発表した。

《所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、当社としては、真摯に対応すべき問題であると認識しております》

さらに、外部弁護士を交え関係者に聞き取り調査を行い「事実確認を進めている」と軌道修正。23日のガバナンス委員会からは《会社としての説明責任を果たす必要がある》《当初の『当該事実は一切なく』との会社コメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いたように思う》などの指摘があったことを明らかにした。

「吉本興業は所属タレントや社員に対し、ハラスメントを防ぐための研修を実施する考えを示しました。これは初動のミスを修正し、テレビ局やクライアントに“松本ショック”をこれ以上広げないため善後策を講じたのでしょう。

また、松本さんの裁判は早ければ3月上旬に第1回の口頭弁論が行われる見込みです。 報道前まで、松本さんの年収は10億円以上だといわれていました。ご本人は何年休業しようと、裁判は最後まで続ける固い意思があるようです」(全国紙記者)

吉本は本誌に「事実確認」の結果は改めてHP等で発表すると話したが、“松本騒動”に敏感に反応しているのはNHKだという。

「民放各社が吉本の株を持つようになり、吉本と各社の関係は強まりました。とはいえ、NHKも朝ドラ『わろてんか』(’17年)のモデルを吉本の創業者・吉本せいにするなど蜜月関係に。現在放送中の『ブギウギ』でも、笠置シヅ子が吉本せいの息子との間に子供をもうける史実を忠実に再現しています。

しかし、今回の報道で局内の反応が一変。旧ジャニーズ問題でNHKの反応の遅さが批判されたことと同じ轍を踏まないよう、事態の推移を慎重に見守っています。旧ジャニーズ問題が表面化した昨秋、NHKの新規の番組にジャニーズタレントを起用する際、上層部の判断を仰ぐ通達が出ました。今回も、そうした判断が下される可能性は否めません。

もし松本さんの疑惑について吉本の何らかの関与が明らかになった場合、吉本タレントを一時的にNHKから“追放”するシナリオまで考えられます」(NHK関係者)

松本不在のダウンタウンの番組もついに始まった。25日に放送された『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)は冒頭、浜田雅功(60)がほかに誰もいないスタジオで、「今夜は未公開シーン大放出スペシャルでございます!」と声を張り上げ、総集編だと紹介するも、番組終了まで松本に関する言及は一切なかった。

「『ダウンタウンDX』などダウンタウンの冠番組に関しては当面、浜田さん一人が出演し、松本さんの出演番組は代役で夏まで乗り切る構えだといいます。吉本は各局と相談のうえ、視聴率が望める千鳥、かまいたち、麒麟・川島の出番を増やすといいます」(前出・制作関係者)

■今後のテレビ界は内村グループが中心に

現在、計7本のレギュラー番組を抱えている松本だが、放送終了になった場合、テレビ局は新番組制作で何を重視するのだろうか。江戸川大学教授でお笑い評論家の西条昇さんはこう語る。

「女性との交際話や合コンの話で笑わせるような芸風は、コンプライアンスが叫ばれるテレビの世界ではもはや厳しいでしょう。きわどい笑いよりも、いまは出川哲朗さんやサンドウィッチマンのような“人柄のよさ”だったり、“ほっこりする”“癒される”笑いが求められるようになりました。今回の松本さんの件で、今後のキャスティングは“女性遊びなどを表に出さない”“クリーン”なタレントが真っ先に選ばれるのではないでしょうか」

それでは実際、新番組のメインには誰が起用されるのか――。

「新しい番組では“関東芸人”がキーワードになるでしょう」と語るのは、民放のお笑い番組を手掛ける現役プロデューサーだ。

「松本さんの番組によく出ていた吉本芸人は、今後番組のキャスティングでは不利になるでしょう。弟分である今田耕司さんらの出演番組が放送見合わせになるなど、すでに影響が出始めています。東野幸治さん、千原ジュニアさんらも“松本色”が強く、今後は代役やレギュラーが増えることも考えにくいでしょう。

そのため非吉本で好感度の高い売れっ子・内村光良さんと、彼を誰よりも尊敬する有吉弘行さんの2人にオファーが集中しています」

前出の西条さんも言う。

「『週刊文春』では“後輩芸人が松本さんにアテンド”と伝えられていますが、これからは芸人同士の上下関係を感じさせる構図の笑いは減っていくと思います。一方で内村さんや有吉さんは、後輩芸人と絡んでも基本的に“優しい”印象があります。“後輩を引き連れて遊ぶ”イメージもありませんから、テレビ局も視聴者も今、求める像に合致するでしょう」

そして、サンドウィッチマンもダウンタウンの穴を埋める存在に。

「サンドウィッチマンの所属事務所幹部はもともと元フジテレビ関係者で、今後フジは彼らとの関係を強めていくと考えられます。ほかにもバナナマンやくりぃむしちゅー、さまぁ~ずやハライチ、劇団ひとりといった関東勢の中堅も“安全”という判断です。『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)の代役を務めたバカリズムもオファーが増えるでしょう。

もともと内村さんは今春から2つの新番組が始まる予定でした。有吉さん、出川さんも含めて、今後のテレビ界は内村さんグループを中心に回ることになります」(前出・制作関係者)

実は松本が同世代で唯一、認めているのが内村だという。

「ダウンタウンとウッチャンナンチャンは’88年から放送された『夢で逢えたら』(フジテレビ系)で共演して以来の盟友です。なかでも松本さんは内村さんの才能と実直な性格にほれ込み、’09年の自らの結婚式に、吉本以外で呼んだ唯一の芸人でした。

内村さんが『紅白』の総合司会に決まったときは『嫌いな芸人1位のダウンタウンと、明暗がくっきり分かれた』と自虐的に表現してエールを送っていました。シャイな内村さんのため、ほかの芸人仲間も呼んで、時折プライベートで会う機会を設けていたと聞いています」(テレビ局関係者)

松本は’21年8月、7年半ぶりに『FNSラフ&ミュージック』(フジテレビ系)で内村と共演。

「ウッチャンナンチャンとダウンタウンでまた何かやりたいよね。ウッチャンとね、なんか特別なものがあるのよ」と神妙に語っていた。

松本にとって内村はくしくも“頼れるのはアイツだけ”と心から思える唯一の禅譲相手なのかもしれない。

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