バイデン大統領、ヨルダン米軍基地への攻撃で対応策を決断

アメリカのジョー・バイデン大統領は30日、ヨルダンの米軍基地が28日にドローン(無人機)で攻撃され米兵3人が殺害されたことについて、対応策を決めたと明らかにした。

バイデン氏はこの日朝、ホワイトハウスで記者団の取材に応じた。

攻撃への対応策を決めたかと問われると、「はい」と答えた。詳細は明らかにしなかった。同時に、「中東でこれ以上の戦争が必要だとは思わない」と述べた。

イランに攻撃の責任はあるのかとの質問には、「実行者に武器を提供している点で(イランに)責任を負わせる」と述べた。

シリアとの国境に近いヨルダン北東部の米軍基地「タワー22」への攻撃では、死者のほか40人以上の負傷者も出た。同基地には約350人が駐留し、武装組織イスラム国(IS)を倒すために活動していると、米中央軍は説明している。

イランの支援を受けているいくつかの武装勢力で構成する、「イラクのイスラム抵抗勢力」を名乗るグループが実行を主張している。

米兵が中東で敵の攻撃によって殺害されたのは、昨年10月7日にイスラエル・ガザ戦争が勃発して以降初めて。

イランは一切の関与を否定している。

複数回にわたる可能性

一方、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、アメリカの対応として「段階的アプローチ」もあり得ると記者団に説明。

「1回切りの行動でなく、複数回の行動を(中略)一定期間にわたって実行する可能性がある」と述べた。

また、「指針となる原則は、これらのグループがもっている、私たちの軍や施設に対する攻撃能力を確実に低下させ続けることだ」と発言。

「大統領は私たちの軍と施設を守り、国家安全保障を守るため、必要なことをする」とした。

バイデン氏には選択肢がいくつかある。イランと関係のある基地や司令官らに対する報復攻撃や、イラクやシリアにいるイラン革命防衛隊(IRGC)の上級司令官への攻撃などだ。

米軍基地への攻撃が多発

中東ではここ数カ月、イランが訓練や資金、装備を提供する武装勢力が、いくつかの米軍基地を攻撃している。

ヨルダンの米軍基地「タワー22」を攻撃したとされる「イラクのイスラム抵抗勢力」は、過去数週間に他の攻撃も実行したと主張している。

こうしたなか、「イラクのイスラム抵抗勢力」を構成する「カタイブ・ヒズボラ」は30日、イラク政府を「困惑」させないよう、米軍への軍事作戦を停止すると表明した。

このグループはイラクの強力なシーア派武装組織で、「神の党旅団」とも呼ばれる。イランから資金や軍事面で支援を受けている。

米当局によると、「タワー22」への攻撃は、米軍のドローンが任務を終えて基地に戻ってくるタイミングで実行された。

基地には自動の防空システムがあったが、自軍のドローンを撃墜しないよう、オフにされていた。そのため、兵舎で寝ていたとされる兵士らには警告が発せられなかったという。

BBCが提携する米CBSニュースは、同基地にはドローン迎撃力を増すため、「コヨーテ」と呼ばれる補助的な防空システムが送られていると報じた。

当局者によると、同基地の防空システムは、中東の他の基地のものほど強固ではないという。

(英語記事 Biden says he has decided US response to Jordan attack

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