昔のサラリーマンは天国?家族手当に住宅手当…給与天引きも少なかった

2026年度より、扶養控除の控除額が38万円から25万円に引き下げられる案がでています。

昔は16歳未満の扶養親族がいれば年少扶養控除が受けられていました。

しかし、今では16歳未満の親族がいても控除の対象になりません。

従業員が受けられる手当も同じで、企業によっては、さまざまな手当をなくそうとしています。

今回は、給料からなくなりつつある手当について解説します。

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今後なくなる可能性がある手当

会社員の手当として、今後なくなる可能性がある手当を、以下に紹介します。

  • 住宅手当
  • 家族手当
  • 皆勤手当

どのような手当なのか、それぞれ確認しましょう。

住宅手当

住宅手当は、従業員が住宅を購入してローンを支払っている場合に、一部の費用を現金で補助する手当です。

また、賃貸に住んでいる従業員を対象に、家賃補助として手当を支払っている企業もあるでしょう。

どちらも企業ごとに支給額は異なり、役職や勤続年数など、会社の規定で手当が異なります。

東京都産業労働局が調査した「中小企業の賃金・退職金事情」によると、住宅手当を支給している企業の割合は35.2%でした。

家族手当

家族手当は、配偶者や子どもがいる従業員に対して支給する手当です。

支給する金額や対象とする範囲についても、住宅手当と同じく企業ごとの規定で異なります。

東京都産業労働局が調査した「中小企業の賃金・退職金事情」によると、家族手当を支給している企業の割合は45.2%でした。

皆勤手当

従業員が欠勤せずに勤務している場合に支払われる手当を皆勤手当といいます。

支給される要件や金額については、企業ごとの規定で異なります。

以上、代表的な3つの手当を紹介しましたが、企業規模を問わずこうした手当の支給を廃止する動きが高まっています。

その理由について確認していきましょう。

手当が廃止される背景にあるもの

手当が廃止される動きが進んでいるのは、主に以下の3つの理由があるとされています。

  • 同一労働・同一賃金
  • ジョブ型雇用の増加
  • 労働環境の変化

それぞれの理由について、解説します。

同一労働・同一賃金

2020年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」によって、正社員とパートタイムなどの非正規雇用との間で、公正な待遇を確保します。

これまでは、正社員に手当を付けて、非正規雇用には手当を付けないといった待遇に差がありましたが、法改正が起こったことで不合理な待遇差は認められなくなりました。

住宅手当や家族手当など、正社員にこうした手当を支払っていると、非正規雇用にも同じ手当を支払う必要があります。

そのため、手当を廃止して給与に置き換える企業が増えました。

ジョブ型雇用の増加

ジョブ型雇用が増加したことも手当が廃止される要因になっています。

業務の内容や成果と、従業員の世帯や住宅といった属性には関係がありません。

ジョブ型雇用は、成果や仕事の業務内容に対して支払われるので、従業員の属性に対する手当を支払う必要性がないと考えられているので、こうしたジョブ型雇用の考え方が手当を廃止している要因となっています。

労働環境の変化

結婚や出産をしない人や、有給休暇の取得を奨励する制度、コロナによるリモートワークなど、昔に比べて従業員や仕事に関する環境も大きく変わりました。

そのため、時代の変化とともに、必要のない手当は廃止する方向に進んでいます。

手当を廃止した場合、一般的には手当分を基本給に加算するケースが多いです。

ただ、昔の会社員と比べて、今は手当だけでなく税金や社会保険料の負担が高くなっていて、いわゆる天引きされる額が多くなっています。

給与から引かれる税金や社会保険料がいくらになるのか、確認してみましょう。

給与から天引きされる税や社会保険料の負担率

財務省が公表している国民負担率を見ると、2023年度の見通しは46.8%になると見込まれています。

出所:財務省「令和5年度の国民負担率を公表します」

国民負担率は、税金と社会保険料の負担率の合計です。

それぞれの内訳は、租税負担率が28.1%で、社会保険料の負担率は18.7%でした。

20年前の2003年度をみると、租税負担率が20.5%で、社会保険料の負担率は13.6%でした。

あわせて34.1%となっていて、この20年で負担率が1割以上重くなっています。

今後も人口減少などで社会保障を維持するためには、負担率は高くなるでしょう。

会社の手当や国の制度に頼るだけではいけない

会社の手当がなくなりつつある現状や、国の社会保障制度に頼りっぱなしの時代は終わりを迎えつつあります。

自分の生活は、自己責任で資金を準備する必要があるので、必要なライフイベントに応じて、資産はしっかりと蓄えておく必要があるでしょう。

参考資料

  • 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」
  • 財務省「令和5年度の国民負担率を公表します」

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