指揮官の振る舞いに厳しい視線が注がれている。
１月30日、サッカーのアジアカップは決勝トーナメント１回戦が行なわれ屈指の好カードのひとつ、サウジアラビア代表と韓国代表が激突した。
試合は1-1のまま120分でも決着がつかず、勝負はPK戦に突入。韓国のGKチョ・ヒョヌがサウジアラビアの３人目、４人目のシュートを立て続けにセーブしたのに対し、韓国は４人全員が成功。カタール・ワールドカップ出場国同士による激闘はアジアの虎に軍配が上がった。
死闘を制し、喜びに浸る韓国イレブンと固い握手を交わしながら労いの言葉をかけるユルゲン・クリンスマン監督。その一方、敗れて肩を落とすサウジアラビアにはチームを指揮するロベルト・マンチーニ監督の姿はすでになかった。
問題のシーンは運命のPK戦の最中に起きた。２人目までは、両チームともに成功。だが、サウジアラビアは３人目のサレー・アル・シェフリ、４人目のアブドゥルラフマン・ガリーブが連続で失敗。韓国の４人目が決めれば敗退という絶体絶命の状況下で、なんとマンチーニ監督は勝負を諦めたのか、早々とベンチを退いてロッカーへと向かった。
しかも、その後ろ姿を国際映像は見逃さず、指揮官の行動は全世界に映し出されてしまった。その直後、韓国のFWファン・ヒチャンのシュートがネットを揺らし、サウジアラビアの敗北（PKスコアは2-4）が決定した。
試合を放棄したような指揮官の振る舞いには至極当然、世界中から疑問の声が噴出した。オーストラリアの大手放送局『Nine』はマンチーニ監督が、ピッチから離れてロッカーへと歩いていく動画を公開。「サウジアラビアのロベルト・マンチーニ監督は、アジアカップで韓国とのPK戦に敗れ、準々決勝の相手がオーストラリアに決まったため、試合終了前に退席した」と記し、勝負師らしくない行動に啞然としている。
一方で、サッカーの母国からもイタリア人監督に苦言を呈している。英国の大衆日刊紙『Daily mail』は「マンチーニ監督は、アジアカップで韓国とのPK戦に敗退する瞬間を見るのが耐えられなかった」と痛烈な一文を綴り、「元マンチェスター・シティの監督であるマンチーニは、対戦相手が準々決勝に進むことを望んでいたのだろうか。韓国代表のGKチョ・ヒョヌがPKをセーブした後、マンチーニはもう十分だと思ったようだ」と皮肉を込めながら、その行動に監督失格の烙印を下している。
批判的な声が相次いで寄せられているマンチーニ監督。指揮官らしからぬ行動に対する波紋は、まだ収まりそうにない。
構成●THE DIGEST編集部
