アジアカップは1月30日、決勝トーナメント1回戦の2試合が行なわれ、韓国代表はサウジアラビア代表とのPK戦にもつれ込む死闘を制して、ベスト8進出を決めた。
試合は後半立ち上がりに動いた。サウジアラビアは、後半開始に投入されたアブドラ・ラディフがサレム・アルダウサリとのコンビプレーで抜け出し、ゴール右に流し込んで先制点。前半から押し気味に進めるなか、ついに均衡を破った。
リードされた韓国は次々にアタッカーを投入して反撃に出るもゴールが遠い。しかし10分と表示されたアディショナルタイムに突入して8分が経過すると、千載一遇のチャンスを迎える。右サイドからのクロスを左ウィングバックのソル・ヨンウが折り返すと、これを途中出場のチョ・ギュソンが頭で押し込みネットを揺らした。韓国が土壇場の90+9分に追いつく。
試合は延長戦でも決着がつかずPK戦へ。ここで韓国GKチョ・ヒョヌが2本のシュートをストップ。一度は崖っぷちに追い込まれた韓国がPK戦を4-2で制し、準々決勝進出を決めたのだった。
現役時代には名ストライカーの誉れ高いロベルト・マンチーニとユルゲン・クリンスマンの指揮官対決もあって、この激闘を欧米メディアも興味深く報じている。米スポーツ専門局『ESPN』は韓国の劇的な同点シーンを「サウジアラビアの観衆は唖然。ゴール裏の太鼓は鳴り響いていたが、それに伴うチャントや騒音は静まり返った」と表現。現在世界最高のフィニッシャーであるソン・フンミンをマンチーニ監督の構築した守備戦術がしっかりと機能し抑え込んでいたものの、最後は息切れしたサウジアラビアが韓国の反撃を許し、「どういうわけか韓国はまだ生き残っている」と記事を結んでいる。
マンチーニ監督の母国イタリアの大手メディア『gazzetta dello sport』は、大一番の結果を受けて、「マンチーニが敗退し、クリンスマンは歓喜した」と始め、「イタリア人監督にとっては信じられないジョーク。99分までリードしたものの、最後のボールでチョのシュートが決まった。韓国にとっては順当なラウンド通過だが、終盤になると体力面での抵抗力があることを示した」とし、土壇場でのしぶとい粘りを驚きを持って称えている。
構成●THE DIGEST編集部