便利な交通手段がまた一つ…運転手不足で「ぐるりん号」大幅減便へ バス会社は労働環境改善をアピールして採用につなげたい【長野】

バスの廃止や減便が相次いでいます。
運転手不足などの影響で、長野市は、中心市街地で運行する循環バス「ぐるりん号」を4月から大幅に減便することを決めました。

長野駅善光寺口から、善光寺大門までのエリアをおよそ30分で1周するぐるりん号。長野市から委託され、長電バスとアルピコバスが運行しています。
■70代女性(長野市鬼無里から)
「長野へ来た時は必ず乗る」「便利。家のそばで止まるから」

その、便利な交通手段が、また一つ減ることが決まりました。
現在は15分間隔で一日38本を運行していますが、4月からは30分間隔・15本に。運行の時間帯も短縮されます。
アルピコ交通が撤退するため、長電バスのみで運行します。

■アルピコ交通長野営業所・植松誠所長
「路線バスを営んでいくのが仕事だと思っていますから、削っていくという話は残念なこと」
「人員不足ももちろんありますけど経営が非常に厳しいというところも強調させてもらいたい」

背景には、利用者数の減少や燃料費の高騰などで経営状況が悪化したこと、そして深刻な運転手不足があります。
去年11月にアルピコ交通と長電バスから長野市に申し入れがありました。
この決定に市民は…。
■長野市内80代女性
「知らなかった不便バスがなくて歳していると」
「タクシーだとすぐ1000円2000円とかかるので歩けなくなると結局街へ出ない我慢するようになっちゃうので、高齢者にとってバスは重要な交通手段です」
■長野市内40代男性
「ぐるりん号は安くて便利なので減らさないほうがいいとは思う」
「高齢者の免許返納とかも推進しているので、足というところでは確保しないといけない」

また、バス会社が廃止の意向を示した路線で、市が赤字分を補填して運行していた「廃止路線代替バス」も減便します。
■長野市荻原健司市長
「支援の取り組みも含めてできることはしっかりやっていきつつ、できるだけ市民の足を確保し続けられるような対策を探っていきたい」

長電バスは、日曜日に運行していた182本を21日から運休。アルピコ交通も、長野市と松本市を結ぶ高速バス路線を3月末で廃止します。
さらに、4月以降、特定の業種に時間外労働の上限が適用されることになる2024年問題。運転手不足の深刻化が懸念されていますが…。

■長電バス乗合・乗用部長大石真一さん
「むしろ採用に当たっては絶好のチャンスだと思っている。運転手の労働条件が緩和されるわけですから」

労働環境の改善などをアピールし、若い働き手を増やしたいといいます。
長野市は、運転手募集の説明会や免許取得費用、さらに女性運転手の雇用に向けトイレや休憩室の整備などを支援する方針です。

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