犬とベタベタしすぎるのがダメと言われる3つの理由 病気になってしまうことも…どれくらいの距離感を保つのがいいの?

犬とベタベタしすぎてはいけない理由とは

犬と一緒の生活を送っていると、可愛さのあまりついついいつも撫でていたり、ついつい遊びの要求に応えたり、いつも一緒に行動するということも少なくありません。

しかし、いつも一緒という距離感は、人にとっても、犬にとってもストレスにつながることもあります。あまりしつこくされるあまり、犬がイライラしたり、飼主を避けるようになってしまうこともあり得ます。積み重なると、犬が病気になってしまう場合も…。

そこで今回は、犬とベタベタしすぎるのがダメと言われる理由について解説します。どれくらいの距離感を保つのがいいのか、一緒に考えてみましょう。

1.分離不安になってしまうから

常に一緒にいるという状態が当たり前になると、犬は人から離れることに大きな不安を感じるようになります。これが「分離不安」です。

この分離不安は、犬にとってとても大きなストレス。心理的な不安感によって破壊行動やトイレの失敗などをしてしまうほか、身体的にも嘔吐や震えなどの症状を示すようになります。

離れようとすると大きな声で吠えたり、姿が見えないとパニックになったりする犬は、既に分離不安の症状が表れているといえます。

2.わがままになってしまうから

常に飼い主が一緒にいて要求を聞いてくれる状態が続くと、犬はなんでも自分の要求を通してもらえると勘違いをしてしまいます。

この勘違いから、犬は飼い主が自分の要求に応えてくれないときに吠えたり、噛んだりといった行動でいうことを聞かせようとするようになってしまいます。

3.自立心を喪失させてしまうから

犬をいつも抱っこしていたり膝に乗せて撫でていたりするようなふれあいを続けている場合、その間その犬は、自由な行動を封じられている状態であるとも言えます。

愛犬を可愛がっていたつもりが、実は愛犬が自由に歩くことを封じていたり、人から離れたいという要求を無視していたりする状態になってしまっているのす。

これは犬の行動範囲を狭めてしまい、自立する機会を失わせているといえます。

愛犬との適切な距離感とは

犬は、飼い主である人間と同様、個体ごとに「性格」が異なります。遊び好きな犬もいますし、散歩はいいけどボール遊びなどは結構です、という犬もいます。割とドライなタイプの犬もいれば、できる限り人に近いところにいたい犬もいるでしょう。

社交的で人が好きなタイプの犬は、常に人の気配があることを好みます。このような犬の場合、人のそばにいることが好きなのでべたべたとくっついている時間が長くなりがちです。飼い主のほうでタイミングをはかって遊んであげたり、離れて休ませたりする時間を調節することが必要になります。

内向的でシャイなタイプの犬は、知らない人はもちろん家族であっても一定の距離感を欲している場合が多いようです。このような子の場合、犬の構ってほしいタイミングをよく見計らうことが大切です。人間側からぐいぐいと近づいていくとそれだけでストレスになってしまうことも多いのです。

しかし、シャイな子が相手であっても、全く構わないということは犬にとっての「無視」になり、愛犬に非常に強いストレスを与えることになってしまいます。犬たちの性格をよく観察し、必要な時に必要なふれあいができるように見守ってあげることが大切です。

また、犬たちと適切な距離感を保つためには、犬にとっての「安全地帯」を用意してあげることも必要でしょう。静かでいつでも安心して休むことができるケージやベッドスペースを作ってあげると、犬たちは不安を感じたり体をゆっくり休めたいときにそこで休息をとることができます。

犬がそのスペースで休んでいるときは、無理に声をかけたり手を入れて撫でたりせずに静かに過ごさせてあげましょう。

まとめ

愛犬の可愛さのあまりついつい過剰に構ってしまいますが、その構い方、触れ合い方がしつこいとお互いにストレスになってしまいます。

お互いの快適な生活のために、適度な距離感は大切です。

犬の性格をよく観察すること、そして安心できる「犬のスペース」をしっかり確保することで、お互いに心地よい関係でいられるようにできるといいですね。

(獣医師監修:平松育子)

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