「神戸ルミナリエ」今後の継続は? 市民とともにあり続ける意味

4年ぶりに開催された『第29回 神戸ルミナリエ』が1月28日に閉幕した。1995年にスタートしてから約30年続く同イベント、組織委員会による「来場者数最終集計速報」や街の声、またSNSの投稿などから今後の継続とその意義について考えてみた。

『第29回 神戸ルミナリエ 2024』より(1月19日・神戸市内)

■ 来場者は減少するも「ゆったり満喫」

「阪神・淡路大震災」の記憶を後世に語り継ぐとともに、神戸の希望を象徴する行事として始まった『神戸ルミナリエ』。本年度は、継続を見据えた新しい取り組みとして、これまでから(1)開催時期を12月から1月に変更、(2)メイン会場を3カ所(東遊園地・旧外国人居留地・メリケンパーク)にして順路のない自由観覧に、(3)メリケンパークに有料会場を設ける、の3点が変更された。

『第29回 神戸ルミナリエ 2024』有料エリアにて(1月19日・神戸市内)

この変更によりJR・阪神元町駅周辺の長蛇の列がなくなり、列を横切れないために両側に位置する店舗に行きにくいなどの懸案事項も解消された。また、有料会場は時間帯毎に上限人数(5000人/1時間)が設けられ、3会場ともこれまでのような身動きが取りにくい混雑はなかったようだ。

そして発表された本年度の来場者数合計は229万8000人(うち有料会場15万400人)。同じ10日間開催の2019年は346万9000人だったことから、来場者数は約120万人減少したことがわかった(ただし2019年は開催期間中に雨がほとんど降らなかったが、今年は週末に雨が多かったことも多少影響していそうだ)。

■「ずっと語り継がれるエピソードに」

興業として考えると、すでに一定の役割は終えたように見えるが、『神戸ルミナリエ』は単なるイルミネーションイベントではない。特に地元の人々にとっては当時のことを思い出す「メモリアル」の役割も担っており、震災を経験していない子どもたちにとっては貴重な学びの場にもなりうるのだ。その例として、同イベントでは神戸の再生を願う復興の歌『しあわせ運べるように』が、今もなお歌い継がれている。

今回の開催に際し、SNSには「大震災から29年になるんですね」「風化しないようにと願いを込めて拝んでおきました」「震災からの復興を象徴する光、ずっとずっと語り継がれるエピソードになって欲しいと思います」などのコメントも上がっている。

また会場には被災地連携募金箱も設けられ、「震災復興の光が石川で被災された方々に届きますように」と能登半島地震災害被災地への想いにも繋げられた。

『神戸ルミナリエ』で発売された公式グッズのひとつ「防災緊急8点セット」(2000円)

電球作品の規模のスケールダウンなどについては言われているところだが、「ルミナリエの何がいいのかと言うと見上げてるみんなの表情が幸せそうなところかな」という声があるように、今、美しい作品をこの目で見ることができる幸せをかみしめることにも意味があるのかもしれない。

『第29回 神戸ルミナリエ 2024』で設置されていた募金箱(1月19日・神戸市内)

文・写真/太田浩子

© 株式会社京阪神エルマガジン社