シャビのバルサ監督退任表明で後任人事に各国メディアが関心! 地元紙はクロップ就任を確実視し、ブラジルメディアは「候補10人」を選定

リバプールのユルゲン・クロップ監督とほぼ時を同じくして、バルセロナのシャビ監督も今季限りでの退任を発表したことで、大きな話題となっている。

現地時間1月27日に行なわれたラ・リーガ第22節でビジャレアルに3-5の敗北を喫した後、バルサのレジェンドである指揮官は「6月30日をもって退任する」と語り、「クラブにはダイナミックな変化が必要だ。ファンにとっても、選手たちのためにも。彼らは自分自身を解放していくべきだが、私たちは過度の緊張の中でプレーしている。理事会のためにも私は去った方がいいし、それまではベストを尽くす。そうすることで、ダイナミズムが変わると思う。これが私の伝えたいメッセージだ」と理由を明かした。

2021年11月にカタールのアル・サッドから古巣バルサに指揮官として帰還し、ここまでリーガとスーペルコパをそれぞれ1回ずつ制している44歳は、2025年6月までの契約を残しているが、クロップ監督同様に「エネルギーが減ってきた」と語り、バルサを率いることの心身両面での負担の大きさを強調して、「このクラブにアレックス・ファーガソン(27年間マンチェスター・ユナイテッドを指揮)が現われることはあり得ない」と表現している。
「この立場になると、家族と過ごす時間が減ってしまい、彼らに苦労を強いてしまってきた。これ以上、私は利己的になることはできない。今後は休んで、子どもたちとの時間を過ごしたい」と退任後のことにも言及した彼は、たとえ残りのシーズンでラ・リーガとチャンピオンズリーグの両方を制したとしても、この決断を翻すことはないと断言した。

クラブとして困難な時期に、大きな期待をかけられてチームの指揮を委ねられたレジェンドは、わずか3シーズン弱で去ることになったが、気になるのは彼の後任が誰になるかだ。さっそく、多くの候補の名前が各国メディアによって挙げられており、バルサの下部組織出身で、現在はアーセナルを率いるミケル・アルテタもそのひとりとされている。 これについて、バルセロナのスポーツ紙『SPORT』は、彼が今季終了をもってアーセナルを退団し、来季からバルサを指揮すると周囲に明かしていると報じたが、これを本人は強く否定。「この話がどこから沸いてきたのか分からない。全くもって真実ではなく、本当に腹立たしいし、信じられない。私が今、(アーセナルで)どれほど幸せで、どれほど感謝しており、どれほど楽しんでいるか。だからこそ、私は動揺している」と、怒りを隠していない。

一方、ブラジルの総合メディア『Globo』は、「シャビに代わる10の選択肢」と題した記事で、アルテタも含めた次期監督候補を選定。その顔ぶれは、以下の10人だ。チアゴ・モッタ(現ボローニャ)、クロップ(リバプール)、ルイス・エンリケ(パリ・サンジェルマン)、アルテタ(アーセナル)、ロベルト・デ・ゼルビ(ブライトン)、ミチェル(ジローナ)、イマノル・アルグアシル(レアル・ソシエダ)、セルジオ・コンセイソン(ポルト)、ハンジ・フリック(フリー)、ラファエル・マルケス(バルセロナB)。

この中で、複数メディアがクロップを最有力候補であるとしており、なかでもカタルーニャの日刊紙『El Nacional』は、「バルサのジョアン・ラポルタ会長とスポーツディレクターのデコがこのドイツ人智将の起用こそ適切であると確信し、クロップもカンプ・ノウでの指揮に誘惑されている」と綴り、すでにクロップがバルサ首脳陣に対し、5人の選手の売却とサビオ・モレイラ(ジローナ)とニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)の獲得を要請したとまで報じている。
しかし、クロップは退任発表において「少なくとも1年間はクラブや代表チームを率いることはない。それは不可能だし、やりたくもない」と語っており、イギリスのサッカー専門サイト『Football365』は、このカタルーニャ紙の報道を「おそらく全くのナンセンスだろう」と一蹴している。

ちなみに、バルサでは常に待望されているジョゼップ・グアルディオラの復帰については、本人が「あと1年はマンチェスターでやりたいし(シティとの契約は2025年まで)、延長するかもしれない。私はまだ、チームを率いていくつもりだ。昨季以上のことはできないが、大切なのは一歩ずつ進めることだ」と明言しており、『Football365』も今夏の実現は「不可能」と見ている。

構成●THE DIGEST編集部

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