パガーニ ウアイラは「走る芸術品」と呼ばれたハイパーマシン【スーパーカークロニクル/110】

1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、パガーニ ウアイラだ。

パガーニ ウアイラ(PAGANI HUAYRA:2012〜2018)

写真は2013年6月に日本で発表されたときのもの。ドアの開閉は本格的なガルウイング式を採用していた。

パガーニ アウトモビリが、 の後継モデルとして2012年にデビューさせたのが「ウアイラ」だ。その車名は南米の先住民族であるアイマラ族の古い言い伝えにある、アンデスの山々に吹きすさぶ嵐や吹雪を司っていた風神「ウアイラ タタ」に由来するという。

ゾンダ同様、レーシングプロトタイプ的なスタイルにエレガントな要素を組み合わせているが、よりキャブフォワードなドライビングポジションとなった。バイキセノンの小型4灯ヘッドランプやリアエンド中央の4本出しエグゾーストエンドなどはゾンダから踏襲されているが、ドアはルーフ中央まで切れ込んだ本格的なガルウイング式を採用している。

カーボンファイバーとチタニウムによるセンターモノコックは完全な新設計で、最高レベルのボディ剛性を確保。前後のサブフレームはクロームモリブデン鋼製で、軽く高剛性だが万が一の衝突時は衝撃吸収材として機能する。

コクピットの後ろにミッドシップ搭載されるパワーユニットは、ゾンダ同様にメルセデスAMG製のV型12気筒DOHCだが、ツインターボ化されて最高出力は730ps、最大トルクは1000Nmという動力性能を発生する。これにXートラック社製のツインプレートクラッチの縦置きシーケンシャル7速トランスミッションを組み合わせ、タイヤは専用チューンのピレリPゼロを装着。公称の最高速は360km/h、0→100km/h加速は3.3秒というハイパフォーマンスを誇る。

独創的エクステリア以上にラグジュアリーなインテリアは「走る芸術品」とも呼ばれ、スイス製の機械式腕時計からデザインモチーフを得たアルミニウム製のダッシュボードが目を引く。センターコンソールはアルミニウムの削り出しで、マニュアルシフトのように見えるセレクターレバーもアルミニウム製だ。ハンドルには変速用パドルも備えられている。

ウアイラは100台の限定生産だが、ゾンダ同様に少量生産ゆえのスペシャルモデルが何車種か存在する。2013年に日本でお披露目されたときの車両価格は、税抜きで1億5000万円からというものだった。

アルミニウム、カーボンファイバー、本革などを用いて、まさに「走る芸術品」を実感させるインテリア。

●全長×全幅×全高:4605×2036×1169mm
●ホイールベース:2795mm
●車両重量:1350kg
●エンジン種類:60度V12 DOHCツインターボ
●総排気量:5980cc
●最高出力:730ps/5800rpm
●最大トルク:1000Nm/2250ー4500rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・85L
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前255/35ZR20、後335/30ZR20

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