「安倍派の倒閣の乱だ」最悪のタイミングで2政務官辞任、国会内に動揺広がる

国会議事堂(資料写真)

 自民党安倍派(清和政策研究会)の裏金事件を巡り31日、同派所属の政務官2人が事実上更迭された。政治資金収支報告書への不記載を理由に2人が辞意を示したとされる。岸田文雄首相の施政方針演説の翌日かつ衆院代表質問の初日という「最悪のタイミング」(自民幹部)。国会内には「派閥の一斉訂正日まで不記載の事実を総理にも官邸にも伏せていたのは悪質。安倍派の倒閣の乱だ」(同)との見方が広がった。

 更迭された小森卓郎総務政務官は能登半島地震対策における総務省のリーダー役、加藤竜祥国土交通政務官は復興政務官を兼ねていた。内閣府の防災関係者は「能登半島地震の政府復興チームの一角が崩れた。収拾が大変だ」と嘆いた。

 代表質問のトップバッターに立った立憲民主党の泉健太代表は「異次元の裏金と異次元の不祥事」と批判し、「関与した議員を処分しないのか」と対応を迫った。政務官交代を巡っては「ここまでチェックをやらずに危機管理もできなかったことは深刻で総理の責任は重大だ」と指摘。「昨年末の閣僚交代からはなぜ漏れたのか」とただした。

 岸田首相は「しかるべき手順を踏んだ上で対応する」と処分について明言を避けた。閣僚交代を巡っても「さまざま報道に接する中で本人の考えなども踏まえ進めた」とマスコミからの情報など外的な要因を強調し自身の責任を転嫁した。

 首相は前日30日の演説で事件の解明や再発防止などを巡り「私自身が先頭に立って実行していく」と宣言したばかり。今回の2政務官交代は自身が任命権を持つ政務三役へのチェックすら不十分だったことが露呈した格好だ。

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