コロナ療養施設で強制性交疑いの県医師会元職員が不起訴に 「女性にほとんど聞き取りなく捜査は不十分」被害者側が検察審査会に申し立て 鹿児島

 女性看護師に同意なく性的な行為をしたとして鹿児島県医師会元職員の男性が強制性交の疑いで書類送検され不起訴となった事件で、女性側は31日、鹿児島地検の処分を不服として鹿児島検察審査会に審査を申し立てた。

 申立書では、女性が鹿児島中央署に告訴状を持参した際に刑事から「事件にならないので告訴を諦めてほしい」と説得されたと指摘。捜査時点で男性の父親が現職の警察官として同署で勤務していた点にも触れ、「適切な捜査が行われていると信頼することができない」と主張している。

 代理人弁護士は「女性への聞き取りがほとんどなく捜査は不十分。市民の視点から、本当に裁判にかけなくていい事案なのか考えてほしい」と話した。

 告訴状などによると、女性は2021年8月、県が医師会に業務委託した新型コロナウイルス宿泊療養施設に派遣され、翌9月に施設内で男性から複数回、性的暴行を受けたとしている。

 女性が22年に県警へ告訴状を提出し、男性は昨年6月、書類送検された。鹿児島地検は同12月22日付で男性を嫌疑不十分で不起訴処分とした。

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