不祥事を起こした芸能人、どうすれば世間から許されるのか…危機管理のプロが語る「復帰への道」自粛会見で必要な3カ条とは

活動自粛から上手に復帰した草彅剛

松本人志やスピードワゴン・小沢一敬の芸能活動自粛が世間を騒がせている。数カ月表に出ないだけで、なぜか “許されてしまう” 稀有なキャラもいるが、やはり多くの芸能人は自粛してもうまく復帰できていない。

では、活動自粛した芸能人は、どうすれば復帰しやすいのか。危機管理のプロ3人に “正解” を聞いた。

多くの政治家の謝罪会見を仕切ってきた選挙コンサルタント・鈴鹿久美子氏は、自粛の際は “初手” が重要だという。

「自粛の際は、記者会見を開くべきです。その場で、

(1)きちんと説明する
(2)全部自分が悪かったと謝る
(3)同じことが起こらないよう対策を話す

この3カ条の説明を一度できれいに終わらせることができれば、次のステップに進めます。後に疑問を残すと、いつまでも蒸し返されますからね」

これまでも多くの芸能人が活動自粛、復帰の道をたどってきたが、上手に復帰した例として、草彅剛をあげる。草彅は2009年、“全裸泥酔事件” で現行犯逮捕されたが……。

「草彅さんは活動自粛後、当時の出演番組『SMAP×SMAP』で謝罪して復帰しました。でも、“本当の復帰” はその後でした。

草彅さんは大好きだったお酒を断った。2014年に同番組の『BISTRO SMAP』のコーナーに、長年親しかったタモリさんが出演し、草彅さんにビールをすすめ、5年ぶりにお酒を飲んだんです。

社会的影響のある大先輩が飲酒を解禁し、“罰” を解いてくれたんですね。公共の電波を利用して、皆の前でおこなわれたことが非常に大きかった。復帰以降の出来事ではありますが、きれいに自粛を終わらせた例だと思います」

議員の場合は、責任を取って議員辞職しても、次の選挙で勝てば “禊が終わった” といわれる。では、芸能人の復帰のタイミングは?

「復帰には理由が必要です。刑法犯なら執行猶予期間が終わった後、不倫の場合は『子供の成人』『結婚10周年』など、復帰するにふさわしいと思わせるタイミングを探るんです。それがあれば、復帰時は会見なしでも大丈夫です」

■復帰時には会見しないほうがいい?

むしろ、復帰時には会見しないことが重要だと説くのは、著書に『生き残る芸能人のすごい処世術』(ベストセラーズ)がある芸能リポーター・城下尊之氏だ。

「ひき逃げや薬物などの刑法犯であれば、執行猶予期間が明けた頃に、不倫などの場合は1年以上経った頃に、何事もなかったようにシレっと戻るのがベストでしょう。

そこで気をつけるべきは、間違っても復帰会見などをやって、話を蒸し返さないことです。ASKAさんの場合、それこそシレっとレコーディングして復帰しました。依然薬物のイメージはとれていないので成功例といえるかはわかりませんが……。

これも “正解” とは違うかもしれませんが、近藤真彦さんは自粛を機に自由になった稀有な存在です。不倫が『週刊文春』に報じられ、自粛。芸能界で目にする機会はかなり減りましたが、そのぶん、かねてからやっていたレーサーとしての活動に精を出し、今や大半の仕事がレース関係です。

自粛を機に別の業界での躍進を図る、というのはひとつの選択肢かもしれません」

経営コンサルタント・鈴木貴博氏にも “正解” を聞いてみよう。鈴木氏は、これまで多くの大企業にイメージ戦略を講じてきた。

「コンプライアンスが厳しくなった現代では、そもそも『活動自粛なんかしない』が正解でしょう。

現在、特に復帰しづらい不祥事として『反社勢力とのつながり』『薬物』『性加害』『ひき逃げなどの犯罪』があげられます。この4つに該当する不祥事であれば、まず『活動自粛→復帰』というルートは断念しなければいけません。

自粛ではなく、引退するんです。その際は、『自分としては責任を取るべきと判断した』などと理由を述べて、事実関係をつまびらかにしない。

そして隠居生活を送り、10年はかかるでしょうが、機を見て復活する。引退とまではいかずとも、たとえば “休養” などという言葉を使って、不祥事を起こしたというイメージを避けるべきです」

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