竹中工務店/CO2排出量を低減する地盤改良工法開発、大阪万博会場で初適用

竹中工務店は、二酸化炭素(CO2)排出量を低減する地盤改良工法「CUCO-CO2固定地盤改良」を開発した。CO2固定粉末「CCU材料」を活用。従来の地盤改良工法に比べCO2排出量を約5%低減する。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の大型重機用仮設走行路の地盤改良に適用した。実際の地盤改良として適用するのは初めて。地盤改良体として求められる性能を満たしていることも確認した。
開発したCUCO-CO2固定地盤改良は、竹中工務店、鹿島、デンカらが幹事会社として組成するコンソーシアム「CUCO(クーコ)」が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」に採択されて実施したプロジェクトの一環。これまでにコンクリートの製造過程で排出されるCO2を実質ゼロ以下となる「カーボンネガティブコンクリート」を開発している。
同工法はCO2を「固定」する技術に着目。コンクリート解体時に排出される建設廃材(コンクリート解体ガラ)や地盤改良体の解体材に含まれるカルシウム分にCO2を固定させ、コンクリート用骨材やCCU材料として再利用することでCO2を貯留する。
大阪・関西万博の三菱未来館の地盤改良の一部に適用した結果、固定されたCO2は約160キロとなり、従来の地盤改良工法に比べてCO2排出量を約5%低減した。建物施工時に大型重機の仮設走行路として活用し、約600平方メートルの地盤改良エリアのうち約200平方メートルに適用した。
竹中工務店は今後、同工法の成果を長期間にわたって検証する。地盤改良体の強度やCO2固定量の調査に活用し、30年には液状化抑止などに用いる地盤改良への適用を目指す。

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