突然ですが、「フロストシュガー」という商品をご存じでしょうか? 「大容量のヨーグルトについてくる砂糖」といわれると、ピンと来る人も多いのではないでしょうか。いつしか見なくなったあの砂糖、実は「フロストシュガー」という商品名だったのです。そんなフロストシュガーについて、販売元である日新製糖に話を聞きました。
【写真】ヨーグルトについてきた砂糖「フロストシュガー」 実はお菓子作りにもおすすめ
―――「フロストシュガー」が開発されたのはいつ?
【担当者】 1968(昭和43)年ごろに開発されました。当時のフルーツは酸味が強いものが多かったこともあり、砂糖をかけて食べる人が一定数いました。そこで、一般的なグラニュー糖や上白糖よりも溶けやすくなじみやすい砂糖として開発されたのが「フロストシュガー」です。
―――名前の由来は?
【担当者】 フロストシュガーはグラニュー糖を細かい穴のあいた顆粒状に加工したもので、穴に空気を含んでいるため溶けやすいのが特徴です。すぐに溶けるという特徴と見た目の印象から、「霜(しも)」を意味する「Frost」が名称の由来となりました。
―――販売開始後すぐに反響があった?
【担当者】 当初、「フルーツに使う甘味料」という用途で販売を始めたのですが、売り上げはあまり伸びなかったようです。
その後、高速道路にあるような紙コップ飲料の自動販売機向けに多く使われるようになっていきました。現在、紙コップ飲料の自動販売機では液体の甘味料を使用していることが多いのですが、当時は粉末が多かったのです。自動販売機で使用されるようになり、熱くても冷たくてもすぐに溶けるという特性が注目されたことをきっかけに、広まっていきました。
1980年ごろから、皆さんがよく見かけたヨーグルトの付属品として採用され始め、一般の方々にも広く見られるようになりました。
―――商品名は一般の人にも認知されていた?
【担当者】 「ヨーグルについてくる砂糖」という視覚的な認知度は高かったと思いますが、商品名にはあまり馴染みがないという人が多かったのではないでしょうか。
―――現在も販売を続けている? ニーズは?
【担当者】 現在はおもに、製パン・製菓メーカーの原料として業務用に販売しているものが多いほか、スポーツドリンクなどの粉末飲料にも使用されています。
家庭用製品としては「ヨーグルト用のお砂糖」を販売しており、1キロ・300グラムの小袋・スティック小分けタイプがあります。一部のスーパーや製菓材料店、ネット販売などで取り扱っています。
ちなみに、X(旧Twitter)などで「懐かしいモノ」として話題になることもありますね(笑)。
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ヨーグルトメーカー各社で長年にわたって採用されてきた「フロストシュガー」ですが、ヨーグルトの食べ方の多様化などを理由に、2010年代前半ごろから徐々に添付が廃止されるようになりました。
フロストシュガーは、ケーキをはじめとしたお菓子作りなどで自宅で使われることも多いのだそう。担当者によると、関東では「甘めの卵焼きにも便利!」という声も一部あるのだとか。
フロストシュガーのほかにも、今では見かけなくなった“懐かしの付属品”について調べてみると新たな発見があるかもしれませんね。
※ラジオ関西『Clip』2024年2月1日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)