桂文枝、弟子のW襲名に期待「次の世代にいい落語をつないで」

落語家・六代桂文枝の弟弟子の桂枝光と弟子の桂三風が、それぞれ「四代目桂梅枝」と「五代目桂慶枝」をW襲名することが決定。1月31日に大阪市内で、発表会見がおこなわれた。

(左から)桂文枝、桂三風、桂枝光、枝光の兄弟子・四代目桂小文枝(1月31日・大阪市内)

1980年代に「桂小つぶ」の名でさまざまなTV番組に出演し、現在は大阪・北海道の二拠点体制で活躍する枝光。三風は、師匠と同じく創作落語に力を入れ、客席参加型などの新しい落語にチャレンジし続けている。襲名する「梅枝」と「慶枝」は、どちらも上方落語界の名跡ながら、100年以上に渡って途絶えており、今回が久々の襲名となる。

枝光は「9年前に脳梗塞になって、オチが出ないようになったときも、襲名を心の糧に戦いました。繁昌亭に私を目当てに、お客様がおいでいただくような噺家になりたい」と抱負を語り、三風も「さらに創作落語に磨きをかけ、古典にも現代の新しい風を入れていきたい。名前とともに、後世に残るような落語を作れるようがんばりたいです」と意欲を見せた。

そして桂文枝は、一門を代表して「2人ともこの年になるまでとても苦労して、(襲名は)ちょっと遅かったかもしれない。いい名前になって、ここで気持ちを切り替えて、上方落語界を盛り上げていただきたい」と温かな言葉をかけたが「この2人の芸のいいところはどこですか?」という質問には「いいところ・・・あんまりないなあ」と、まさかの爆弾発言。

「枝光君はちょっとねっちゃりしているし、三風はやかましくてワサっとしてるかなあ」と下げるようなコメントをしつつも、すかさず「でもそれは、2人の一番の特徴。今までの芸をもっと磨いていくという気持ちで、次の世代にいい落語をつないでいただきたいと思います」という最大級のエールに、2人は深くうなずいていた。梅枝と慶枝の襲名披露興行は、今秋におこなわれる予定。

取材・文・写真/吉永美和子

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