茨城・日立の大雨被害 災害備え訓練強化を 懇話会が市に提言案

日立市の災害対応に関する提言案をまとめた市民懇話会=同市役所

2023年秋の台風13号に伴う記録的大雨で、茨城県日立市の災害対応を議論してきた市民懇話会(座長・信岡尚道茨城大教授)は31日、市への提言案をまとめた。市民への情報伝達や避難所開設の訓練強化、急激な状況悪化に備える早期の避難所開設などを盛り込んだ。市は提言を踏まえ、3月に復旧基本計画を策定する。

同日市役所で開かれた第3回会合で示した。これまでの意見を集約し、情報の収集・伝達▽避難所のあり方▽避難行動要支援者などへの支援▽地域の協力連携▽防災意識の啓発・防災教育の推進-などに分けてまとめた。

情報伝達では、「大雨で防災無線が聞こえなかった」との意見が寄せられ、災害発生当日に避難情報などが市民に十分に伝わらなかった教訓を反映。情報発信の代替手段を確保し、多様な伝達方法を整備することを求めた。

気象予測の限界も視野に入れ、想定を上回る事態に備えた情報収集と伝達の訓練を行う必要性も強調。被害状況の把握や関係機関との調整などで情報を一元管理できる体制づくりも課題に挙げた。

避難所に関しては、大雨による道路渋滞で開設が遅れた反省を生かし、災害弱者は警戒レベル3の「高齢者等避難」より前に行動を始めないと避難が間に合わない可能性があるとして、「自主避難所」などの開設の検討を求めた。

避難所に関する事前の計画づくりや訓練の際には、男女比を50%ずつにすることも明記。避難行動要支援者については、実効性のある個別避難計画の作成を要望し、支援者の役割の明確化や避難支援手順の作成が課題とした。

このほか、自助や共助が発揮できるコミュニティーづくりを進めることを期待。必要な情報を受け取れるよう高齢者向けの情報通信技術(ICT)講習や学校での防災教育の充実なども盛り込んだ。

懇話会は近く提言を正式にまとめ、小川春樹市長に提出する。信岡座長は「想定外の時にどう行動できるかは、訓練を継続しておくことが最も重要。少子高齢化に対応した自助共助の体制づくりも求められる」と語った。

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