【伊平屋観光・物産フェア】島魚や特産品などをを展示・即売 沖縄タイムスふるさと元気応援企画 2月2~4日に開催

 

[伊平屋 観光・物産フェア 2024]

 沖縄タイムス社と伊平屋村が主催する「いへやじゅうてー 人情味あふれる原風景の郷 伊平屋 観光・物産フェア2024」が2~4日、那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる。「沖縄タイムスふるさと元気応援企画」の第34弾で、島魚や島の農産物を使った特産品の数々が手頃な“お祭り価格”で提供されるほか、民具制作の体験やミニライブなどもある。島の魅力や出店する事業者の一部を紹介する。(北部報道部・前田高敬)

ヤギ汁 臭みなく人気 自然の草で育ち繊細な味

伊平屋の名物・ヤギ汁をPRする野甫太志さん=伊平屋村我喜屋

 島の生活に欠かせないのがヤギ汁だ。上棟式などの行事や祝い事の際は「ヤギ汁がないとみんな納得しない」と村民は異口同音に語る。

 伊平屋のヤギは飼料ではなく自然に生えている草を食べて育つ。こうした草は「海風を受けミネラルが豊富」(伊平屋村商工会の伊豆味文徳会長)で、そのためか伊平屋のヤギは生育がよく、特有の臭みがほとんどない。若い世代や女性にも好まれる理由だ。

 軟らかめなら塩、固めならみそと肉質に応じて味付けを変え、ごく薄味なのも特徴だ。食べる際は塩を足すなどしてそれぞれが自分好みの味にしていく。一見すると普通のヤギ汁のようだが、こうした伊平屋流の食べ方はむしろ調理する人の目や腕が試されるのだという。

 同村我喜屋の海鮮料理店「海魚(かいぎょ)」(野甫武志代表)は、伊平屋フェアでこの繊細な味のヤギ汁を提供する。「本島でもいろんなところでヤギを食べたけれど、伊平屋と比べるとやはり癖が強過ぎると感じた」とは最近帰島し海魚で働く野甫太志さん(28)。伊平屋のヤギ汁は、知らずに食べたら豚肉料理か何かだと思いかねないほど他地域と比べ食べやすいと話す。

 海魚では、調味料として塩のほか自家製ラー油も用意しているという。店を切り盛りする野甫節子さん(59)は「島でしか味わえないヤギ汁をこの機会に食べてほしい」とアピール。気に入ったらぜひ島を訪れ、伊平屋の雰囲気を楽しみつつ味わってほしいと願う。

 海魚ではこのほか、イカスミ天ぷらやテナガダコなど、島ならではの海産物で海魚の定番メニューも取り扱う予定だ。

島産コメで泡盛 甘み特徴

伊平屋のコメで造った泡盛をPRする(左から)保久村将貴さん、政代さん、貴洋さん=同村我喜屋

 米どころでもある伊平屋では、2019年から伊平屋産のコメで作った泡盛で付加価値を高める取り組みが行われている。

 国が主導し県やJA、酒造組合などが参加して進める「琉球テロワールプロジェクト」の一環。テロワールとはワインの原料となるブドウが生育する自然環境などを指すフランス語から取っており、地域に根差した原料調達を行うことで、焼酎類やタイ米で造られる一般的な泡盛などと差別化する狙いがある。

 伊平屋酒造所(竹村進之介代表)が製造するテロワール泡盛は「しまぐみ」(25度)と「照島」(43度)の2銘柄。しまぐみは食用米の「ちゅらひかり」、照島はタイ米と同じ長粒種を使った泡盛だ。

 いずれのコメも島での生産量は限られ、特に新米を使ったものは、昨年夏の台風6号の影響で伊平屋フェアのようなイベントでしか出せないのだという。

 味は一般的な泡盛と比べ甘みがあるのが特徴。特にしまぐみは比較的抑えめな香りで、料理と一緒に味わうといった日本酒のような楽しみ方もできるという。製造担当の保久村将貴さん(36)は「島のコメ、島の水で造った泡盛を楽しんでほしい」とPRした。

民具作り手ほどき 3.4日 予約制

民具作り体験では稲わらミニほうき、クバのミニかご、クバやゲットウのガンシナー作りができる

 3日と4日は、民具ギャラリーと体験工房「種水土花(しゅみどか)」(伊平屋村我喜屋、是枝麻紗美さん主宰)による民具制作体験コーナーが会場2階のタイムスギャラリーで開かれる。

 稲わらのミニほうき、クバで作るミニかご、クバまたはゲットウを使ったガンシナー(頭に乗せて荷物を運ぶ際頭に乗せる輪っか)の作り方を是枝さんやスタッフが手ほどきする。実用として、またインテリアとしても映えそうだ。

 開催は午前10時~午後4時で各回の定員は3~8人の事前予約制。2500~3500円の参加費が必要となる。空きがある場合は当日も受け付ける。

 難易度に応じて年齢の制限がある。詳細と予約はQRコードから。

「天然素材の安らぎ感じて」 アトリエ種水土花

クバなどで編んだ手作り民具を前に笑顔を見せる是枝麻紗美さん=同村我喜屋

 民具アトリエ「種水土花(しゅみどか)」では、伊平屋のクバや稲わらなどで作った民具を制作・展示販売するほか来島者向けに制作体験も行っている。

 かごやひしゃく、お守りのマース袋などは県内外の百貨店やセレクトショップで扱われ、島の雰囲気を伝える手作りの温かさが人気だという。

 主宰する是枝麻紗美さん(46)は独学で民具制作を学び、2019年には県工芸公募展でクバのベジタブルトレーがデザイン賞を受賞した。是枝さんは「島の外で民具作り体験を開くのは伊平屋フェアくらい。まずは見てもらって、天然素材が与える安らぎを感じ取ってほしい」と話し、民具をきっかけに島を訪れる人が増えればいいと願っている。

「伊平屋ブルー」の海 魅力 沖縄の原風景が残る島

野甫大橋から見える「伊平屋ブルー」と呼ばれる遠浅の海=2019年撮影

 伊平屋島は沖縄本島の北西約40キロにある県内最北の有人島。「伊平屋ブルー」と呼ばれる遠浅で美しい海から標高200メートル級の山々まで、離島には珍しい起伏に富んだ地形が特徴だ。沖縄の原風景が残る島として観光PRに力を入れる。

 島の北部にあるクマヤ洞窟は、日本最南端の「天岩戸(あまのいわと)伝説」がある場所として知られる。北端にある久葉山は、村の木・クバに覆われており、山頂の灯台からは鹿児島県の与論島を望むことができる。

 県内有数の米どころでもあり、起伏に富む地形がもたらす濃い霧が黄金色の稲穂の上に立ち込める様は、他の離島では見られない幻想的な風景だ。今帰仁村の運天港から1日2往復するフェリーに乗れば約80分で到着する。

伊平屋で取れる島タコ(海鮮料理店「海魚」提供)

与論と観光連携へ期待 海上タクシーで1時間

鹿児島県与論島からは伊平屋島(中央奥)が見える。不定期航路により与論からの誘客も期待されている(提供)

 新型コロナ禍以前は年間4万人以上の観光客が訪れた鹿児島県与論島は、伊平屋島とほぼ同緯度。直線距離も約40キロほどしか離れていない。

 通常のルートで訪れるには沖縄本島を経由する必要があるため、全て順調にいっても約5時間、通常は1日がかりとなる計算だが、海上タクシーを使い直航すると1時間ほど。離島間を直接巡る「アイランド・ホッピング」は欧米客にも人気で、村は今後の連携への可能性に期待をかける。

 伊平屋(野甫島)と伊是名島の間にはチャーターによる不定期船を運航する業者が複数あり、要望により与論島まで運航することがある。伊平屋-与論間の不定期航路というわけだ。村関係者は「空路があり比較的観光しやすい与論を訪れる人たちを一部でも伊平屋に取り込めたら、村の活性化にもつながるはず」と話す。

大きな身が特徴の伊平屋産夜光貝(海鮮料理店「海魚」提供)

民泊受け入れ積極的

 伊平屋島では、民家に宿泊して農業や漁業など島の暮らしを体験する民泊を積極的に受け入れている。

 イモなどの作物を収穫したり魚をさばいたりする体験は特に都市部の修学旅行生などに人気で、シーズンになると大勢の子どもたちが島を訪れる。

 フェリーの運航時間の関係で日帰り旅行は難しいことから、民泊以外の受け入れ態勢も充実している。伊平屋島観光協会のホームページには、ホテルや民宿などのほか、これらがいっぱいの場合には公民館での宿泊も可能と案内されている。

伊平屋で取れる島魚は種類も豊富だ(海鮮料理店「海魚」提供)

 「伊平屋ブルー」の海はダイビングする人にも人気で観光の柱として成長しつつあり、新型コロナ禍以前には年間2万5千人を数えていた観光客数は今後も増えていきそうだ。

自慢の品々 今年も 名嘉律夫村長

名嘉律夫伊平屋村長

 離島ならでは、伊平屋でしか味わえない品々を今年も那覇にお持ちする。離島ファンのみならず、島出身で本島に住む郷友会の人たちにもぜひ会場を訪れてもらい、伊平屋の雰囲気を楽しんでほしい。

 甘くておいしい新タマネギ、スイーツなど普段はあまり意識されないかもしれないが伊平屋自慢の特産も取りそろえている。スイーツは福岡から移住したパティシエが指導してくれ定住促進にもつながった。

伊平屋産の新タマネギは、刺身のつま代わりとしても人気という(提供)

 元気のいいサンゴの海など自然も魅力的な伊平屋にフェアを機に多くの人が足を運んでもらいたい。

島にも足を運んで 伊豆味文徳実行委員長(伊平屋村商工会長)

 

 今回の伊平屋観光・物産フェアの目玉の一つはヤギ汁。地域に根差した食文化であり、多くの人に楽しんでもらえると思う。

 また、今回は島の出身者らがミニライブをしてくれる。会場では飲食の提供もあるので、地元の泡盛を楽しみながら、歌や踊りで伊平屋気分を満喫してもらいたい。

 3日間で限られた広さの会場でもあり、伊平屋のあふれる魅力は紹介しきれない。フェアを機に島に足を運んでもらい、食に自然に人情にと魅力あふれる伊平屋を好きになってほしいと念願している。

【出展店舗・事業者紹介】

<飲食コーナー>

■海産物料理 海魚(イカスミ汁、貝飯、天ぷらもずくそば、魚汁そば、ヤギ汁、うむくじ天ぷら、生ビール、ハイボールなど)

■伊平屋酒造所(照島水割り、照島パンチなど)

<物産コーナー>

■種水土花(クバカゴ・トレー、植物アクセサリー、ガンシナ-、クバの額装、手ぬぐいなど)

■藤田食品(黒糖パウンドケーキ、もずくのたまご、黒糖など)

■海やから千増(うずまきもち各種、黒糖アガラサー・黒糖ナントゥ、平松黒糖まんじゅうなど)

■上原水産(セーイカ、マグロ、マグロカマ、島魚、島タコなど)

■イヘヤカシワークス(チーズプリン、黒糖パイ、いへや黒糖どらやき)

■倶楽部 野甫の塩(手もみ完全天日塩「塩夢寿美(えんむすび)」各種、卓上塩各種、天然にがり、塩かりんとうなど)

■伊平屋酒造所(照島各種、しまぐみ、たつ浪、芭蕉布、桜田御門など)

■JAおきなわ伊平屋支店(黒糖各種、野菜各種など)

■伊平屋村漁業協同組合(島魚、もずくめん、もずくつくだ煮、あぶらみそ、乾燥もずく・あーさー、塩もずくなど)

■海産物料理 海魚(ナーガラス=貝の塩漬け、夜光貝、島ダコ、スーファイ、いへやアンダギーなど)

■風希ネットワーク(豚トロみそ、豚肉ゴロゴロあんだんす)

<イベント・展示>

▼「想華ライブ」(民謡ショー)=2日(金)午後5時半~6時

▼「カチンバ3」ライブ=4日(日)午前11時~11時半

▼民具作り体験

▼観光PR、いへやメモリアルフォトコンテスト入賞作品展示

▼移住定住ブース

▼抽選会

▼歴史民俗資料館ミニ展示

▼ミニ与論フェア

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