新年度予算案が続々発表 品川区はマンションのエレベーター防災強化

23区の自治体が続々と新年度予算案を発表です。なかでもマンションが立ち並ぶ品川区では、エレベーターの防災設備など震災を想定した予算案を発表しました。

品川区の森澤区長は1月31日の会見で、新年度予算案の目玉として区民の安全安心にむけ、約8億7千万円を盛り込むことを明らかにしました。

記者:「高層マンションの多い品川区。今回の新年度予算案でエレベーター用の防災チェアを無償で配布します」

品川区によりますと、区内に住む7割ほどの人がマンションで暮らしています。そうした状況を受け、水や食料などが入っていて地震でエレベーターに閉じ込められた時に役立つ防災チェアを、希望するマンションに提供します。そして、能登半島地震を受け、森澤区長の思いから盛り込まれた政策も。

森澤区長:「まず、能登半島地震でさまざまな報道も踏まえまして、課題が顕在化しているところがあります。そういった中ではトイレの問題というのはかなりフォーカスされているところではありますし、啓発の意味も込めて配布をしたい」

全区民に3日分、1人20個の携帯トイレが無償で配布されるということです。さらに、今年度、すでに学校給食の無償化を実施している品川区。新たに2億円を計上し、1食あたりの単価を上げて給食の質のアップを目指します。給食の質の向上に区民からは…

「4月から小学校に行くので、しっかり食べて欲しいので、ぜひ質をあげてもらったら嬉しいです」「食っていうのはすごく一番大事なことですので、そこに力を入れるというのは(良い)」

区民から歓迎の声が聞こえる一方で、専門家は継続性が今後ポイントになると話します。
教育アドバイザー 清水章弘さん:「今、物価が高騰していて原材料費が上がっていますので、今のクオリティを担保だけでも難しくなっている中で、そこに援助が入るそれで質が担保されるのはすばらしいこと。給食の質があがることに関しては、子どもたちは敏感に感じとると思います。果たしてその補助というのは持続可能かどうか、そこの補助がサステナブルかどうかがポイントだと思います」

予算案は今後、2月20日に開会する品川区議会で審議されます。

続いて1月31日に予算案を発表した4つの区について、それぞれの特色が見えた政策の中身を見ていきます。

まずは杉並区です。品川区同様、給食費無償化に関わる政策を挙げています。杉並区は区立の小中学校などのほか、追加で5億円の予算を費やし、国立や私立の小中学校にも給付を行い、全小中学校の給食費の実質無償化を行います。都内では墨田区に次いで2番目です。また2年後の区立児童相談所の開設に向けて10億円が計上されています。

続いて港区です。港区は都内で初めてとなる政策を3つ発表していまして、1つ目が災害時に自動で安否確認ができるシステムの導入です。現在、人が電話で一件ずつ行っている安否確認をシステム導入により一斉に自動で行えるもので、予算は約9000万円が計上されています。

2つ目が高齢者の孤立死などによる家主の費用負担の支援です。背景には、高齢者の入居に家主が孤独死などの不安を抱くことで貸し出しを渋る実態があり、この政策により高齢者がより住まいを借りやすくする狙いがあります。そのほか、幼児がいる家庭に向けた絵本貸し出しの政策があります。

続いて足立区です。「地域の足」を守るため、区内を走るコミュニティバスの利用者が少ない3路線を今年中に廃止し、利用者の多い7路線を継続するため、区が新年度からバス事業者の赤字分を負担するとしています。約6億円となるこの事業について、近藤区長は次のように説明しています。

近藤区長:「自前の努力ではバス路線を確保することは困難である。移動手段を維持するためのはるかぜ路線を守る、ということで、この7路線について共同事業に舵を切ることになる」

さらに足立区は、新たな交通手段として、自宅と乗り降りスポットを割安な料金で移動できる「デマンドタクシー」の導入を検討していて、今年の6月から実証実験を行うとしています。

最後に文京区です。インバウンド需要の拡大に向けて、「ナイトライフ観光事業」という観光政策を予算案に盛り込みました。予算額は2000万円で、内容は、区内の有名な桜スポットをライトアップするということで、候補としては、播磨坂さくら並木か江戸川公園だということです。また、区役所も入る文京シビックセンターの25階にある展望台に、お酒と夜景を楽しめるバーを設置するとしています。バーは毎日ではなく、年に4回ほどを予定していて、詳細はこれからだということです。

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