もしもトランプ氏が大統領に…「もしトラ」望むプーチン大統領 「思惑はマトリョーシカに」中村逸郎教授

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2024年11月に投票が行われるアメリカ大統領選挙。共和党の予備選挙で、2連勝したトランプ氏をめぐって、今、日本のメディアで使われ始めたある言葉が「もしトラ」です。

「もしトラ」とは、「もしもトランプ氏が大統領に返り咲いたら」を略した言葉。その「もしトラ」の世界を望むのがプーチン大統領だといいます。ロシア政治の専門家、筑波大学の中村逸郎名誉教授に話を聞きました。

プーチン大統領は2024年3月の大統領選に出馬

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で被害が拡大する中、ロシアのプーチン大統領は2024年3月、大統領選に出馬します。筑波大学の名誉教授・中村逸郎は「プーチン大統領の再選は確実であろう」と話します。

「再選は確実」と話す中村名誉教授

中村逸郎名誉教授:
「(再選で)最大これから12年に及ぶ大統領のポストにとどまることになると考えられます。延べ36年間、ロシアの最高権力者の座にいます」

ロシア国民にとって、プーチン大統領の存在は国をも超えているといいます。その思いは、ロシアの民芸品マトリョーシカに隠されていました。

マトリョーシカ

中村名誉教授
「プーチンのマトリョーシカ、ロシア語でプーチン。ロシアの国章が描かれています。中を開けると、またプーチン大統領が出てきます」

ソチ五輪のプーチン大統領

「2014年のソチオリンピックのときのプーチンが現れてくるのです。次を開けると、KGBのスパイとしてのプーチンが。その後、またプーチンの水兵になった姿が現れてきます。どんどん開けていくとプーチン、プーチン、プーチン」

小さくつくられたロシア

最後はロシア

「そして最後に出てくるのがプーチンのいないロシアです。プーチンの大きさに対して、ロシアはこんなに小さくなってしまった。ロシア国民にとって、あまりにもプーチンの存在が大きくなりすぎて、ロシアという国が小さくなってしまったのです」

モスクワ市内の様子

ロシアは2023年6月に始まったウクライナ軍による反転攻勢をしのぎ、さらなるウクライナへの侵略を目指そうとしています。しかし、ロシア国内に目を向けると、ある変化も。画像はクリスマスを迎えたモスクワ市内の様子です。街に人の姿はほとんど見られません。10年前と比べると、活気が失われています。

まるでソ連時代のようなモノトーンのモスクワ

「以前は華やかな広告がたくさんあった」と語る

中村名誉教授:
「軍事侵攻をする前まで、欧米の華やかな広告が街にいっぱいありました。それがなくなってしまっています。まるでソ連時代のような廃墟と化したような、モノトーンのモスクワに変わってしまっているのです」

外国製品は一斉に消え、ロシア製や中国製に変化

ほとんどの商品がロシア製に

「これまでスーパーマーケットには、外国製品がいっぱいありました。化粧品はフランス製、洋服はイタリア製、フランス製、イギリス製も。チョコレートもベルギー製もたくさん売っていましたが、そういったものが一斉に消えてしまい、今やほとんどロシア製に変わってしまいました。または中国製に差し替えられてしまっています」

消費意欲が落ちたロシア国民

「本当にがっかりしてしまったとロシア人は言っています。モスクワ市内の人たちは『将来の不安に備えて、お金をため込もう』と消費意欲が急落。プーチン政権への不信感もあります」

トランプ氏

そこでプーチン大統領が救いの手を求めているのは、アメリカのトランプ氏だと中村名誉教授は話します。

「プーチン大統領はトランプ氏にまた大統領になってほしい」

プーチン大統領の後ろにはトランプ氏が

中村名誉教授:
「プーチンの新しいマトリョーシカです。ロシアと言えば“クマ”。クマは力とエネルギーのシンボルなんです。クマの上に乗っているプーチン大統領は、“百獣の王”であることを誇る姿。クマの上に乗ったプーチン大統領の後ろを見ると、なんとトランプ氏がついています」

経済制裁を緩和してもらいたいという思惑か

「2024年の最後、アメリカの大統領選挙があります。プーチン大統領はトランプ氏にまた大統領になってほしい。トランプ氏が大統領に復帰することによって、アメリカがロシアに課している非常に厳しい経済制裁を緩和してもらいたいという思惑があります。アメリカの大統領選挙の動向がプーチン大統領は非常に気になるのだと思います」

「もしもトランプ氏が大統領に返り咲いたら」(もしトラ)を待ち望むプーチン大統領。2024年、世界がこの2人の行く末に注目しています。

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