国重要無形民俗文化財の裸祭り・西大寺会陽(17日)で、4年ぶりに争奪戦が再開される宝木(しんぎ)の原木を授かりに行く「宝木取り」が1月31日深夜から1日未明にかけて行われた。会陽の舞台となる西大寺観音院(岡山市東区西大寺中)から如法寺無量寿院(同広谷)まで、使者が伝統にのっとり道中無言で往復した。
使者は観音院の世話役9人で全員が菅笠(すげがさ)をかぶり、裃(かみしも)姿の正使を田中俊実さん(57)、先導役の棒頭(ぼうがしら)を佐伯徹さん(62)が務めた。
観音院本堂での読経後、1日午前0時ごろに出発すると、ちょうちんを手に黙々と歩を進め、片道約4キロの道のりを約40分かけて無量寿院に到着。大石賢映住職(40)から挟箱(はさみばこ)に原木を納めてもらい、同じ道を引き返して観音院に届けた。
観音院では1日午前、原木を宝木に仕上げる「宝木削り」が行われた。
4日には五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願する「修正会(しゅしょうえ)」が始まり、結願(けちがん)となる17日午後10時に本堂で宝木を投下する。裸衆による争奪戦は新型コロナウイルス禍で2021年から3年連続で中止されていた。