「アルバイトは有休がありません」と会社から言われており、2年ほど有休を使えずにいました。有休の買取は不可能でしょうか?

条件を満たせばアルバイトも有給休暇の取得が可能

有給休暇は年次有給休暇の略称で、労働基準法によって労働者の心身の疲労回復、ゆとりある生活の保障を目的に定められた制度です。有給休暇の取得条件は以下のとおりで、これらに該当すれば正社員だけでなく、アルバイトやパート、派遣社員、契約社員といったすべての労働者に対して適用されます。

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・雇用日から6ヶ月以上継続して働いている
・出勤日数が雇用契約書などで締結した所定労働日の8割以上__

※出典:厚生労働省「労働基準法 第三十九条 年次有給休暇」

例えば、アルバイト日数が1週間で5日間、1ヶ月で21日間だった場合、6ヶ月間の所定労働日は126日です。そのうち出勤日数が8割以上となる101日程度に達していれば、有給休暇の取得条件を満たします。

有給休暇付与日数は所定労働日数や継続勤務年数によって異なる

実際に付与される有給休暇の日数は、所定労働日数や勤続年数によって表1のように異なります。

【表1】

※厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」より筆者作成

また、所定労働日数が少ない労働者についても、表2のように有給休暇が比例的に付与されます。

【表2】

※厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」より筆者作成

有給休暇の買い取りは原則として違法

有給休暇の買い取りは原則として違法です。買い取りを認めることで雇用する側が「お金を支払えば有休の取得は不要」といった処理をする恐れがあります。それでは、心身の疲労回復、ゆとりある生活の保障という有給休暇の本来の目的に反すると判断されるのです。

有給休暇の買い取りが例外で認められるケースもある

有給休暇の買い取りは原則として違法ですが、以下に該当する場合は例外として買い取りが認められます。

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・労働基準法で定められた日数を上回る有給休暇がある
・有給休暇を取得せず消滅時効である2年間が過ぎた
・退職時に消化できなかった有給休暇がある
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ただし、有給休暇の買い取りが例外で認められるとはいっても、会社が応じる義務はありません。就業規則に有給休暇の買い取りを記載していないなど、買い取りを希望しても拒否されるケースもある点に注意してください。

有給休暇の買い取り価格の計算方法

有給休暇の買い取りは労働基準法上の制度ではないため、どのように計算するかは会社のルールによって異なります。一般的な計算方法は以下のとおりですが、実際に有給休暇の買い取りを行う際には、一度就業規則や会社の担当部署に確認するといいでしょう。

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・過去3ヶ月の賃金から計算した1日あたり平均賃金
・健康保険や厚生年金の等級の決定に用いられる標準報酬月額の日割り額
・就業規則などで定めた一定額
・所定労働時間で働いた際の通常賃金
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労働者の権利を失わないためにも有給休暇を計画的に取得しよう

アルバイトで働く人も、雇用日から6ヶ月以上継続して働いている、出勤日数が雇用契約書などで締結した所定労働日の8割以上といった条件に該当すれば有給休暇の取得が可能です。有給休暇は労働者の正当な権利なので、定められた付与日数の範囲内で計画的に取得しましょう。

有給休暇を取得できなかった場合の買い取りは原則として違法です。一定の条件を満たす場合のみ買い取りを認めてもらえますが、応じるかどうかは会社次第です。就業規則などから有給休暇の買い取りについて確認し、状況に合わせた対応をすることをおすすめします。

出典

厚生労働省 労働基準法 第三十九条 年次有給休暇
厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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