GANG PARADE、13人で見せた進化の集大成 真冬の野音で繰り広げた大躍動の祭り

1月28日に日比谷野外大音楽堂で開催された『天晴れ!真冬の大ギャンパレ音楽祭 in 日比谷野音』。GANG PARADEの約4年半ぶりの野音でのワンマンライブは、チケットがソールドアウト。進化を重ね続ける13人編成でのパフォーマンスが活き活きと躍動した公演の模様をレポートする。

夕暮れ時が近づいてきた日比谷野外大音楽堂。紅白の幕や提灯で飾られているステージの中央後方に、GANG PARADEのハンドサインがそびえる神輿が鎮座しているのが目を引く。諸注意などを読み上げていた影アナがGANG PARADEと同じ事務所 WACKに所属しているリチであることが明かされて歓声が上がったりもしたのちに迎えた開演。オープニング映像が流れてから無音となり、下手側の袖からメンバーたちが現れた。ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、キャ・ノン、チャンベイビー、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイ……野音の大きなステージに13人が並ぶ様が壮観。そして、ピアノの瑞々しい音色で彩られた1曲目「WINTER SONG」がスタートすると、冬の野外の空気がとても心地好く感じられた。

遊び人(ファンの呼称)の激しいコールを誘った「Happy Lucky Kirakira Lucky」と「シグナル」が披露されたあと、メンバー各々の自己紹介へ。「ここが最強の遊び場だってことを見せつけてやるぞ! 気合い入れのために、私に続いて復唱してください!」と叫んだカ能セイは、コール&レスポンスを遊び人と交わして、会場内にすでに生まれている一体感をさらに高めた。ふと気がつけば着々と日没に近づいていて、遊び人が腕に装着しているLEDライトのカラフルな光が客席全体を美しく染めている。和風テイストなダンスサウンドが気持ちよかった「躍動」、エビゾリダンスなども交えつつ、メンバー全員でものすごいエネルギーを放った「pretty pretty good」、遊び人のダンス衝動を思いっきり掻き立てていた「SUPER PARTY PEOPLE」……かっこいい姿が次々と示されたが、ユーモアにも満ち溢れているのがGANG PARADEだ。「まだボディがホットになってないんじゃないの? 隊長に続いて真似して踊ってくれ!」と叫び、『ビリーズブートキャンプ』を彷彿とさせるエクササイズ“ベビーズブートキャンプ”を突然スタートさせたチャンベイビー。「まずは歩く!」「腕を挙げて!」「膝を壊す!」――指令に合わせて遊び人が一斉に身体を動かしている風景は、冷静に眺めてみるとなかなかシュールでもあった。

〈オギャーオギャーオギャー〉と歌いながら、メンバーたちも遊び人も赤ちゃん返りした「赤ちゃん」。疾走感たっぷりのサウンドが冬の夜風をスリリングにかき乱していた「BREAKING THE ROAD」。次々とフォーメーションを変化させるダンスの切れ味が抜群だった「ブランニューパレード」も披露されたあとには、コントがスタート。「まだまだいけますか?」と遊び人を煽ったヤママチミキに対して、「そんなありきたりの煽りじゃ盛り上げられないよ!」とダメ出しをした月ノウサギ。彼女が「勝負下着を穿いてきたかー? 私は今日、めちゃくちゃ食い込む下着穿いてきましたー!」と見本を示したあたりから、メンバー同士のやり取りが奇妙な方向へと進み始めた。X(旧Twitter)の裏アカで1週間前からライブのステマをしていただけでなく、「ナルハちゃんのかわいさはココちゃんの次」というポストもしていたことを暴露されたココ・パーティン・ココ。「超絶かわいいマイカ! 好き好き大好き、マイカ! 振り付け最高、マイカ!」と思いっきり持ち上げられたキャン・GP・マイカであったが、彼女の“元カレ”を名乗る謎の人物が「綺麗になったね」と書かれたボードを手にして客席に佇んでいるのがスクリーンに映し出されたりもして、遊び人は大爆笑していた。

13人体制になってからのGANG PARADEの軌跡を感じさせてくれる「Anything Goes!!!!」「lol」「Träumerei」「Gangsta Vibes」が届けられたのち、キャ・ノンが想いを語った。「10年前くらいに野音のライブを観てからずっと憧れていて、今日こうしてみんなのおかげで夢を叶えることができました! ひとりじゃ叶えられない夢も、メンバーと遊び人という最高の仲間がいれば一緒に叶えていける。私は今日、GANG PARADEとして野音に立てたことを誇りに思います。そして、なによりも遊び人のことが大好きです。この先もGANG PARADEとあなたがいるこの遊び場は最高だってことを証明していきます。これまでもこれからも絶対に届くと信じて歌い続けます」――彼女のMCを経てスタートした「FOUL」は、長年にわたってGANG PARADEを応援している遊び人は、特にグッとくるものがあったのだと思う。2017年にこの曲がリリースされた時のGANG PARADEは、7人編成。曲中でのコールは「BODY & 7 SOUL」だったが今は「BODY & 13 SOUL」。現体制を活かした形で進化したパフォーマンスが、冬空の下で熱いエネルギーを放っているのを感じた。

「涙は風に、思いは歌に」が披露された直後のユメノユアのMCは、胸に深く迫るものがあった。「この曲は私と同期のヤママチミキと一緒に歌詞を書きました。GANG PARADEが始まってから9年間。ミキはいちばん私のそばにいて、いろいろなことを一緒に経験してきた大事な仲間です。活動していくなかで楽しいこともたくさんありましたが、うまくいかないことのほうが多かったです。でもGANG PARADEは、どんな時も今この瞬間を大切に生きてきました。やりたいことがあるのも、見たい景色があるのも、進んでいきたいと強く思えるのも、GANG PARADEとして生きていきたいと強く思えるのも、目の前にあなたがいてくれるからです。遊び人の君がここにいてくれるなら、私たちはどこまでも進んでいけると思います。これからも私たちのそばにいてください!」――この言葉を噛み締めながら披露された本編ラストの曲「INVOKE」は、GANG PARADEと遊び人が育んできた温かな絆を伝えてくれた。

客席から沸き起こり、続けられた「まだ足りない! まだ足りない!」という声に応えてスタートしたアンコールの1曲目は「CAN’T STOP」。メンバーがひとりずつ現れて13人編成を徐々に作り上げていく様にはワクワクさせられた。サビに差し掛かると繋いだ手を高々と掲げ、一斉に身体を左右に揺らして踊り始めた遊び人。ステージからメンバーが眺めた風景は、とてもきれいだったはずだ。そして迎えた小休止。月ノウサギは、次に披露する新曲について語った。「THEイナズマ戦隊さんに書いていただいた新曲です。歌詞を書いてくださった上中丈弥さんが『この曲は、痛みも喜びも一緒に味わってきたメンバーを想って歌う歌だ。そんな想いを込めて書いたんだ』って言ってくれて。この曲を聴いて歌う度に『ひとりじゃないんだ』って思えるんです。13人もいるから時にはぶつかりますけど、一緒に歩いていけるメンバーがいて、そして何よりも遊び人がいてくれるから『ひとりじゃないんだ』と思うことができています」「遊び人がこの曲を聴いた時に『ひとりじゃないよ』『あなたにはギャンパレがいるよ』って思ってもらえるように、今から目いっぱい愛を込めて歌います。今伝えたいことが全部詰まっている曲です」――この言葉が添えられた「ROCKを止めるな!!」は、遊び人の歓声とGANG PARADEの歌声が熱く融け合っていた。

ラストを飾った「Plastic 2 Mercy」は、一斉に飛び跳ねた遊び人のエネルギーが客席を震わせていた。この曲は数々の風景を生み出してきたが、この日また新たな歴史が刻まれていくのを感じた。プラニメからPOPへ、POPからGANG PARADEへ、2度の改名を経て始まったGANG PARADE。決して順風満帆だったわけではなかったこのグループが、プラニメが2014年にリリースした曲を大切にしながら歌い継ぎ、チケットがソールドアウトした野音のステージで鳴り響かせる未来に辿り着いた。明るい負けん気を常に発揮しながら歩んできた彼女たちの象徴とも言うべき「Plastic 2 Mercy」は、とても幸せな曲だとあらためて思った。

「今日は全国各地から集まってくれたんじゃないかなと思うんです。今度は私たちがみなさんに会いに行きたいと思います!」――6月から9つの都道府県を回るオールスタンディングのツアー『AVANTGARDE PARADE TOUR』が始まることが発表され、ユイ・ガ・ドクソンの一本締めで迎えた終演。名残惜しそうに何度も手を振り、笑顔を浮かべていたメンバーたちの姿が眩しかった。久しぶりの大舞台でのワンマンライブを成功させた手応えは、2024年のGANG PARADEの活動を支える力となっていくだろう。

(文=田中大)

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